深川澪通り燈ともし頃

深川澪通り燈ともし頃深川澪通り燈ともし頃
(ふかがわみおどおりひともしごろ)
北原亞以子
(きたはらあいこ)
[市井]
★★★★☆

北原亞以子さんは、『夜の明けるまで 深川澪通り木戸番小屋』で第39回吉川英治文学賞を受賞された。これを機に、「深川澪通り」シリーズの第二弾の長編小説を読み返した。

「第一話 藁」は、狂歌師を目指して肩肘張って生きる若者政吉を描いている。政吉と女房のおきく、そして薄幸の女性おうたの人間模様が哀しくてせつない。しかし、それが深川澪通りの人情の中で描かれると、ほのかな温かみを感じる。

「第二話 たそがれ」では主人公は仕立て屋のお若に変わる。お若は三十五歳で、駿府に妻子がいる綱七という薬売りの男と十八年来の不倫関係にあった。一年のうちに三月(みつき)か四月(よつき)しか江戸にやってこない綱七への恋愛感情。仕事を持ち生計を立てられる身ながら、一人老いていく将来への不安。結婚した幼なじみとの比較。お若を通して、江戸に生きる一人のキャリアウーマンの姿を鮮やかに描いた作品である。

ブログ◆
2006-03-17 江戸のキャリアウーマン
2006-03-15 編集後記と深川へのあこがれ
2006-03-14 時代小説のソムリエ

物語●「第一話 藁」煙草の行商人の政吉は、『一大事』を話したくて、真先に中島町澪通りの木戸番夫婦の笑兵衛とお捨のもとへ向かったそれは政吉の狂歌が二首、本にのることだった。二人は、『一大事』『おおごと』と手放しに喜んでくれた。自分のつくった狂歌が本にのるという大事件を、一番言ってもらいたかったことばで喜んでくれたのだった…。
「第二話 たそがれ」夕立のときに、お若の家の前で、薬売りの綱七という男が雨宿りをした。稲妻が走り、すさまじい雷鳴が路地を揺るがす中で、十七歳のお若は役者のような整った綱七の顔に見とれていた……。

目次■第一話 藁(一大事/祝宴/朝帰り/朝寝の死/不満/崩壊/明りの色/絶縁/燈ともし頃)|第二話 たそがれ(夕立/しじまの鐘/澪通り/嵐のあと/心のしみ/怪我/姉弟/長い道)|燈はともる。僕たちの奥に。 マキノノゾミ

カバー装画・デザイン:蓬田やすひろ
解説:マキノノゾミ

時代:文政八年
場所:越中島突出新地、中島町澪通り、ほか

(講談社文庫・714円・97/09/15第1刷・05/03/01第19刷・466P)
購入日:05/09/0
読破日:06/03/17

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