『傑作! 名手たちが描いた 小説・鎌倉殿の世界』の解題を担当しました。

剣客商売 浮沈

剣客商売 浮沈
剣客商売 浮沈
(けんかくしょうばい・ふちん)
池波正太郎
[剣豪]
★★★★

『剣客商売』は作者が49歳のときに書き始められて、本書は作者の亡くなる前年66歳のときに刊行されている。59歳で登場した秋山小兵衛は、『浮沈』では、67歳になっている。この『浮沈』を読んでいると、とても年齢のことが気になってしまう。『剣客商売』のはじめの数巻に満ち満ちていた明るさが、小兵衛=池波さんの老いとともに失われていくのが無性につらい。

この『浮沈』がシリーズ最終巻になるのだが、作者自身が本作品でこのシリーズを終りにしたかったのではないかと思えてならない。

『剣客商売』は、この春、フジTV系で藤田まことさんの秋山小兵衛でTVドラマ化される。藤田さんの起用については、イメージと違う気がするが、市川プロデューサーは、藤田さんのもつ飄々とした中にある明るさにひかれたのかもしれない。期待したい。

物語●秋山小兵衛は今も時折、二十六年前、門弟滝久蔵の仇討ちに立ち会った際の、相手方の助太刀山崎勘介との死闘を思い出す。「生きていれば名ある剣客になっていたろうに」。
そんなある日、亀久橋の近くの蕎麦屋〔万屋〕で見かけた崩れた風体の浪人は、敵討ちを成就し名をあげたはずの久蔵だった。そしてその直後、奇しくも小兵衛は、勘介によく似た男と出遭った…。
シリーズ最終巻は長編。

目次■深川十万坪/暗夜襲撃/浪人・伊丹又十郎/霜夜の雨/首/霞の剣/解説 常盤新平

カバー装画:中一弥
カバーレイアウト:多田進
解説:常盤新平
時代:天明四年(1784年)秋
舞台:鐘ヶ淵、深川十万坪、亀久橋北川、駒込片町
(新潮文庫・438円・1998/04/01第1刷・262P)
購入日:97/03/28
読破日:98/04/04

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