幕末新選組

幕末新選組幕末新選組
(ばくまつしんせんぐみ)
池波正太郎
(いけなみしょうたろう)
[新選組]
★★★☆☆

NHK大河ドラマ『新選組!』の影響から、新選組関係の出版ラッシュになっている。数多ある新選組ものでは、脇役の一人として描かれることが多い永倉新八にスポットを当てた作品。

読み始めると、池波さんがなぜ永倉新八を取り上げたのかがわかる気がしてくる。作者と同様に、永倉も松前藩士の子ながら、江戸で生まれ育った江戸っ子である。剣は強いが、女に弱い。一本気でカラッと明るくおっちょこちょい。幕末という多くの血が流された殺伐たる時代を描きながら、この愛すべきキャラクターにより、さわやかな読了感のいい作品にしている。とくに、同じ新選組隊士の藤堂平助との友情がおもしろい。

永倉が池波さんの分身だとしたら、いろいろと新八の面倒をみる、浪人の市川宇八郎は、その口跡や振舞いから池波さんのエッセーによく出てくる先輩をモデルにしたのではないかと思われ、池波ワールドにいることの心地良さを感じさせてくれる。

物語●松前藩の百五十石どり定府取次役・永倉勘次の一人息子栄治(元服後は新八に改名)は、七歳で腕白小僧で、江戸屋敷でそのいたずらに手をやかぬものはないといってよかった。ある日、門番で足軽の大草五十郎は、栄治から経木包みの饅頭をもらった。甘いもの好きの五十郎は、その饅頭をかぶりついた。器用な栄治が、巧みに抜きとって自分の口に入れてしまった饅頭の餡のかわりに入っていたものは、栄治の尻から排泄された黄色のかたまりだった。栄治の度はずれないたずらは、大嫌いな勉学を強要され、剣術を学ばせてもらえぬことの反動と知り、神道無念流の岡田十松の道場に入門することになった。好きで好きでたまらない剣術だけに、めきめき腕も上がり、十五歳で切紙を許され、十八歳で本目録をうけ、岡田道場でも屈指の腕前となった…。

目次■青春の血/試衛館の人々/浪士隊出発/誠の旗/変乱/梅雨空/池田屋騒動/戦雲/江戸の空/激流/七条油小路/賊徒/敗走/明治元年/落日/あとがき/解説 佐藤隆介

カバー:サイコ・オカダ
解説:佐藤隆介
時代:弘化二年(初登場時が7歳で、安政四年11月10日家出時が19歳から逆算)
場所:下谷・三味線堀、神田・猿楽町、浅草・阿部川町、下野・佐野、牛込、深川・山本町、小石川伝通院、京都・壬生村、蛤御門ほか
(文春文庫・590円・04/01/10第1刷・426P)
購入日:04/01/10
読破日:04/02/03

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