妖女渡海剣 用心棒・新免小次郎

妖女渡海剣 用心棒・新免小次郎

(ようじょとかいけん・ようじんぼう・しんめんこじろう)

えとう乱星

(えとうらんせい)
[伝奇]
★★★☆☆

『素浪人斬艶剣』、『女忍往生剣』に続く、「用心棒・新免小次郎」シリーズ第3弾。えとうさんは、ご贔屓の作家だが、うかつにもこの本が刊行されていることに気が付かなかった。相変わらずエロい表紙で、家族に代わりに買ってもらうことができず、自分で買う。

江戸時代初期、とくに寛永から慶安にかけての時代というのは、伝奇小説の題材の宝庫である。秀忠から家光に政権が移り、幕藩体制の基盤が固まる時期であるが、家康時代からの混沌とした部分を多く残している。切支丹問題、海外渡航と鎖国、外様大名の改易など、大きな問題を抱え、また柳生宗矩、十兵衛、天草四郎、由比正雪、鄭成功など、一癖二癖ありそうな個性豊かな著名人も輩出。山田風太郎さんも好んでこの時代を取り上げている。

えとう乱星さんの「用心棒・新免小次郎」シリーズもこの時代を取り上げた伝奇小説で、まさに何でもありである。今回、小次郎は、何と「抗清復明」を標榜し、日本にも援軍を要請した「国姓爺」鄭成功のボディーガードを務めることになり、海を渡る活躍ぶりを見せる。

このシリーズの魅力は破天荒な主人公小次郎のキャラクターとともに、物語を彩る美女の存在。表紙装画にあるようなコメディア・デ・アルテ(16世紀にイタリアで生まれた古典仮面喜劇)風のマスクをした謎の美女・雪蛾が登場する。また、根来忍びの甚左とその息子・大吾や松浦党の海賊・五郎八と朱祢(あけみ)の父娘、ヤン・ヨーステンの遺児ヤエズゾーン・タローらが脇を固める。

物語●新免小次郎は、わずか四文の手間賃で、金井半兵衛という武士の用心棒として雇われ、赤坂の溜池まで同道することになった。目的地の近くで、清の忍びに襲われた。黒装束の者たちの間で、一人だけ白い衣装に白い仮面を付けた女・雪蛾(せつが)が率いる忍びを、小次郎は柳生十兵衛から会得した咬龍剣で退けた。
用心棒の役目を果たした小次郎は、根来忍びの甚左に導かれて紀州藩の徳川頼宣と会い、金井半兵衛と河原十郎兵衛を紹介され、二人とともに海を渡り、鼓浪(コロンス)で抗清復明の戦いを続ける鄭成功の用心棒をするように依頼された…。

目次■第一章 用心棒海を渡る/第二章 ゼーランジャ城の虜囚/第三章 英雄、国姓爺/第四章 阿修羅の闘い/終章 さらば雪蛾

カバーイラスト:武田英希
カバーデザイン:妹尾浩也
時代:明記されず。正保三年(1646)頃
場所:神田御影橋、赤坂溜池、不忍池、紀州藩上屋敷、平戸、ゼーランジャ城、鼓浪島ほか
(学研M文庫・590円・04/01/21第1刷・300P)
購入日:04/05/29
読破日:04/06/11

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