美大出身の新米鑑識隊員が、美術の知識と鑑賞眼で捜査を支える

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湘南機動鑑識隊 朝比奈小雪 殺意の断片|鳴神響一|徳間文庫

湘南機動鑑識隊 朝比奈小雪 (徳間文庫)書き下ろし警察小説のヒットメーカー、鳴神響一(なるかみ・きょういち)さんの新シリーズの第2巻、『湘南機動鑑識隊 朝比奈小雪 殺意の断片』(徳間文庫)を紹介します。

本書は、その鑑識という仕事の特殊性に着目し、新米鑑識隊員の奮闘を描く警察小説です。8月に続いて2カ月連続刊行の2カ月目、小雪も新しい配属先の湘南機動鑑識隊第二班の仕事に慣れてきて、余裕も少し生まれてきたようです。


物語のあらすじ

湘南地域で発生する事件に二十四時間対応する最強の鑑識部隊「MFU」。その第二班に所属する新米隊員・朝比奈小雪に出動命令が下った。江の島署管内の画廊で、マネージャーが撲殺された遺体が発見されたのだ。現場保存を進める中で、小雪は奇妙なことに気づく。遺体の周囲に散らばる破片。それは、絵画を切り刻んだ断片では――。謎が謎を呼ぶ鑑識ミステリー、待望の第二弾!

(『湘南機動鑑識隊 朝比奈小雪 殺意の断片』カバー裏の紹介文より抜粋・編集)

ここがポイント

第一の読みどころは、警察において殺人事件の被害者と最初に深くかかわる「鑑識」という仕事に光を当てている点です。指紋検出セットやALSライトなど、最新の鑑識機材を駆使する現在の捜査現場を知ることができ、とても興味深い内容になっています。

また、主人公の朝比奈小雪が美術大学を卒業後に警察官となったという経歴もユニークです。小雪の美術鑑賞眼と知識が、困難な事件解決に役立つ点も読みどころです。

今回の事件現場では、青と赤の二色で描かれた抽象画が切り刻まれ、その断片が遺体の周囲に撒かれていました。
その元絵はどのような作品なのか。誰が描いたのか。そして、その断片が示す意味とは何なのか――。捜査は難航します。

美大出身である小雪は、捜査一課の向井から協力を求められ、共にこの断片の謎を追うことになります。小雪を通じて、著者の美術への深い造詣が随所に感じられる点も大きな魅力です。

今回取り上げた本


書籍情報

湘南機動鑑識隊 朝比奈小雪 殺意の断片
鳴神響一
徳間書店・徳間文庫
2025年9月15日初刷

カバーフォト:iStock
カバーデザイン:印南貴行(MARUC)

目次:
プロローグ
第一章 青と赤の断片
第二章 断片のエネルギー
第三章 美術を愛する者
第四章 『波濤の叫び』
第五章 悲しみの軌跡
エピローグ

本文295ページ
書き下ろし

鳴神響一|作品ガイド
鳴神響一|なるかみきょういち|時代小説・作家1962年、東京都生まれ。中央大学法学部卒。2014年、『私が愛したサムライの娘』で第6回角川春樹小説賞を受賞してデビュー。2015年、同作品で第3回野村胡堂文学賞を受賞。時代小説SHOW 投稿記...