時代小説●文庫新刊情報|2025年8月上旬の新刊(1日→10日)
2025年8月1日から8月10日に文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。おすすめの新刊の紹介文は、Amazonの内容紹介より抜粋・編集しています。各タイトルの詳細はAmazon.co.jpの紹介ページからご覧いただけます。
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ポプラ文庫
築山桂さんの『本所あづま橋小間物細工くじゃく屋』
お七の祖父が営んでいた「くじゃく屋」は、美しい石を使った小間物で密かな人気を集めてきました。ところが祖父の死後、借金が発覚します。取り立てに現れたのは、仇敵である大店・甲州屋で、返済ができなければ妾になれという理不尽な要求を突きつけられます。
八方塞がりのお七に手を差し伸べたのは、「遊び人の金さん」と呼ばれる美丈夫の浪人でした。金さんは、祖父譲りの知識をもつお七に、西洋渡りの石を探す手助けを求めます。お七はその申し出を受けることになり――。
人と人との縁が紡がれる、心あたたまる人情時代小説です。
小学館文庫
松永弘高さんの『奥羽関ヶ原: 政宗の謀、兼続の知、義光の勇』
東軍に味方するか、西軍に呼応するか――。徳川家康と石田三成の対立が頂点に達し、もはや一触即発を避けられなくなっていた慶長五年の夏。すべての武将が「我が家の浮沈はこの一戦にあり」と、政局の動向に全身全霊を傾けていました。
全国に不穏な空気が立ち込める中、上洛の命を拒み続けた上杉景勝を豊臣家への謀反と断じた家康は、ついに会津征伐を決行します。陸奥国・伊達家当主の政宗は、家康に命運を託し、上杉領国の北東・信夫口へと出陣。一方、出羽国・最上家当主の義光は、愛娘・駒姫を豊臣秀吉に殺された恨みを胸に家康に味方し、北西の米沢口へ進軍します。
対する上杉家の重臣・直江兼続は、三成に呼応し、家康の非道を正すべく立ち上がります。こうして、天下分け目の関ヶ原の戦いと時を同じくして、東北最大の合戦「慶長出羽合戦(長谷堂合戦)」が幕を開けます。
長谷堂城・白石城・梁川城・福島城をめぐる奥羽の争乱において、政宗、兼続、義光の三人はどのように旗を振ったのか――。
「北の関ヶ原」とも称される激戦を描いた、迫力の歴史長編です。
双葉文庫
千野隆司さんの『おれは一万石(34) -世子の守札』高松藩士殺しの真相を暴いた礼として、百両が当たる富札を得たことで、井上家では正紀の初めての「お国入り」にかかる費用の目処が立ちました。久々の帰国を楽しみにする藩士たちで藩邸内は沸き立ちます。
しかしその矢先、高岡領内で謎の疫病が蔓延しているとの報せが届きます。帰国を目前に思わぬ災禍に直面した正紀たちは、国許の藩士や領民を救うべく奔走します。
人気シリーズ第34弾は、困難に立ち向かう正紀たちの姿が胸を打つ一作です。
山本巧次さんの『奥様姫様捕物綴り(三)- 入るを増やして出ずるを為せ』
美濃御丈藩の正室・彩智の実弟である堀川玄蕃頭正泰が藩主を務める下総猿原藩で、江戸留守居役が切腹する事件が起こります。しかも、新田開墾にまつわる公金横領の責任をとったという遺書まで残されていたのです。
事の重大さに驚いた彩智は、娘の佳奈姫を連れてさっそく猿原藩の正泰のもとを訪れ、事件の真相を明らかにすることを約束します。そんな中、猿原藩に金を貸し付けていた両替商の主人が自死したという知らせが入り……。
無敵の奥方様と姫様が大名家の難事件に挑む、痛快時代小説の大好評シリーズ第3弾です。
時代小説文庫
柴田よしきさんの『あんと女剣士 お勝手のあん』 品川の旅籠・紅屋で働く料理人のおやすが主人公です。女中頭のおしげが紅屋の跡継ぎとして養女に入る決意を喜ぶ一方で、行方知れずの弟を案じるおしげの思いに、おやすの胸中は複雑でした。
その頃、横浜の生麦村では薩摩藩士による英国人殺傷事件が発生し、品川の町も騒然となります。そんなある日、おやすは浪人風の男に襲われますが、剣の達人に命を救われます。その人物の正体を知ったおやすは、大きな驚きを覚えるのでした――。
幕末の激動の時代にあっても、安らぎの場を守ろうと懸命に生きる人々の姿を描いた、大好評シリーズ第十二弾です。
東圭一さんの『奥州狼狩奉行始末』
江戸時代を舞台に、馬産が盛んな奥州で深刻な問題となっていた狼害に立ち向かう物語です。藩から命を受け、狼狩奉行に任じられた岩泉亮介。彼の父は三年前に非業の死を遂げ、兄も病に伏しています。家のために職務を受け入れた亮介でしたが、狼の群れは「黒絞り」と呼ばれる頭目に率いられ、かつてないほどの凶暴さを見せていました。
やがて「黒絞り」を追う中で、亮介は父の死の真相、そして藩の不正にまで辿り着いていきます。
北方謙三さん、今野敏さん、今村翔吾さん、角川春樹さんによる選考委員が満場一致で選出した、第十五回角川春樹小説賞受賞作です。
光文社文庫
澤田瞳子さんの『恋ふらむ鳥は』
宝女王(斉明天皇)に引き立てられた歌人・額田王。次代の大王となる葛城王子(天智天皇)や、その弟でかつての夫・大海人王子(天武天皇)、異父兄である漢王子、さらに葛城王子の忠臣・中臣鎌足らに囲まれながら、宮人としての務めに邁進する彼女は、やがて時代の大きなうねりに翻弄されていきます。
大敗を喫した白村江の戦いから、古代史上最大の内乱とされる壬申の乱へ――。激動の飛鳥時代を背景に、額田王の半生を描いた歴史巨編です。
山本巧次さんの『関ケ原の亡霊: 新九郎 古今捕物控』
南町奉行所定町廻り同心・瀬波新九郎のもとに、古今の文書を蒐集していた好事家の老人が殺されたとの知らせが入ります。現場に入った新九郎は首をひねります。金銭は奪われておらず、貴重な品が盗まれた形跡も見当たりません。
そこで、古文書に詳しい人物を伴って再度検証を行ったところ、価値のある古文書が一通、消えていることが判明します。その文書には、徳川家の「隠し財産」の在処が記されていたらしいのです。
古文書に疎い新九郎は助っ人を頼みますが、それが思いもよらぬ展開を呼ぶことに――。
「八丁堀のおゆう」でおなじみの著者が贈る、待望の新シリーズがついに開幕!
変わった経験を持つ同心が、江戸の常識では解き明かせない不可解な事件に挑みます。
実業之日本社文庫
幡大介さんの『シャムのサムライ 山田長政』
江戸時代初期、六尺(駕籠かき)の山田仁左衛門(後の長政)は、駿河の大名・大久保忠佐を守るために抜刀し、その結果、お役御免となります。江戸を離れ、故郷を追われた仁左衛門は、長崎から船でシャム国へと渡ります。
象が闊歩し、大河が流れる南国で、彼は国王の傭兵として無我夢中で生き抜きます。アユタヤでの決戦、姫との結婚、スペイン艦隊との激闘、ソンタム王の死――。
やがて総督にまで昇りつめた男の波瀾万丈の生涯を描いた歴史冒険時代小説です。
朝日文庫
北尾トロさんの『佐伯泰英山脈登頂記』
書き下ろし時代小説の巨匠・佐伯泰英。その膨大な作品群のどこから読み始めればよいか悩んでいる読者も多いのではないでしょうか。
そんな方々のために、「全部読んでリポートしよう!」と著者が立ち上がりました。『密命』から『助太刀稼業』まで、1年間にわたり佐伯ワールドにどっぷりと浸かった著者が、忖度なく語る佐伯作品のガイドブックです。
講談社文庫
中脇初枝さんの『伝言』
満洲国・新京で暮らす少女・ひろみ。
聖戦と呼ばれた戦争に勝つため、彼女たちは工場に集められ、鉄の機械や刷毛を使って、畳ほどの大きさの「紙」を作り続けます。それが何なのかも考えずに、ただひたすらに――。
「五族協和」「尽忠報国」。信じていた国の中で、ひろみたちはどのように生きたのか。
これは、私たちが決して忘れてはならない物語です。
今村翔吾さんの『イクサガミ 神』
最終決戦、ついに開幕。
東京は一瞬にして地獄絵図と化しました。血と慟哭に包まれた都心の一角で、双葉は京八流の仇敵・幻刀斎と対峙することになります。
一方の愁二郎は、当代最強の剣士と一騎打ちに――。
戦う者たちの矜持を懸けた「蠱毒」は、いよいよ終局へと向かいます。
八人の化け物と、少女ひとり。
生き残るのは誰なのか――。
祥伝社文庫
青山文平さんの『やっと訪れた春に』
橋倉藩の近習目付を務める長沢圭史と団藤匠は、ともに齢六十七。本来であれば一人だけが就くべき役職ですが、二人が並び立っているのは、実質的に藩主が二人存在していたという橋倉藩ならではの特殊事情によるものでした。
しかし、次期藩主の急逝をきっかけに藩主が一本化され、ようやく橋倉藩にも、そして二人の近習目付にも平和が訪れようとしていました。その矢先、二人藩主体制の幕引きを進めていた藩の重鎮が暗殺されてしまいます――。
馳月基矢さんの『掌 蛇杖院かけだし診療録』
江戸に麻疹の流行が押し寄せ、蛇杖院の近くにある手習所では、赤い斑点や高熱に苦しむ子どもたちの姿が見られるようになります。見習い医の長山瑞之助は、“穢れ”が見えるという拝み屋・桜丸の指揮のもと、懸命に治療にあたります。
ところが桜丸が倒れ、さらに長山家でも麻疹に罹る者が出てしまいます。家族との間に深い溝を抱えていた瑞之助ですが、これを機に母や兄と向き合う決意をします。一方、麻疹の流行に乗じて、権威や金を振りかざす勢力が暗躍し始め――。
山本一力さんの『深川駕籠 クリ粥』
「クリ粥が食べたい」――駕籠舁きの新太郎と尚平が暮らす深川の木兵衛店では、桶職人の鉄蔵が病に臥せっていました。つましく、まっとうに生きてきた鉄蔵の最期の願いを叶えようと、ふたりは市中を駆け回りますが、大凶作と時季外れが重なり、栗は一つも見つかりません。
やがて同業の寅の伝手で千住の青物問屋を訪ねますが、悪名高い当主は法外な値をふっかけてきて……。
江戸の人情と心意気があふれる、傑作時代小説です。
徳間文庫
有馬美季子さんの『小鍋屋よろづ公事控 赦しの紅葉鍋』
夫婦で切り盛りする小鍋屋「よろづ」。
女将のお咲は、かつて公事師として活躍していた過去を持ち、今日も常連客から持ち込まれる揉め事の相談に耳を傾けています。
今回の依頼人は、一年前に美人局の被害に遭った蝋燭問屋の主人です。恥が世間に知られることを恐れて泣き寝入りしていましたが、つい先日、自分を嵌めた女を街中で見かけたといいます。
奪われた二両を取り戻すことはできるのか――。
旧悪免除(時効)まで残された日はわずか。お咲が導き出す、驚きの裁定とは?
おいしい料理と公事知識で、お客の悩みをほっこり癒やす。
大人気人情シリーズ、待望の第2弾です!
!おすすめ度
★:読みたい/入手したい
■:新装版/復刊
♪ :気になる/チェックしたい
◎:文庫書き下ろし





![『後漢書 列伝[四]』](/photos/100/4657250086.jpg)
















































