【新着本】お店×ミステリー。五つの謎で、今日も特別な一日に

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『やさしいお店で謎解きを お店×ミステリ アンソロジー』|細谷正充編、大崎梢・岡崎琢磨・今野敏・竹吉優輔・坂木司著|双葉文庫

やさしいお店で謎解きを お店×ミステリ アンソロジー (双葉文庫)文芸評論家の細谷正充(ほそや・まさみつ)さんが編んだ現代ミステリーのアンソロジー、『やさしいお店で謎解きを お店×ミステリ アンソロジー』(双葉文庫)をご紹介します。

編者の細谷さんは、時代小説の解説で知られていますが、ミステリーやSFなど現代小説にも精通し、幅広い読書眼を持つ“本の目利き”として高く評価されています。

本書は『おいしい推理で謎解きを たべもの×ミステリ アンソロジー』に続く、「○○×ミステリ アンソロジー」シリーズ第2弾です。今回は、書店や珈琲店、ペットショップなど、身近で親しみやすいお店を舞台とした謎解きを集めています。

収録作は、大崎梢(おおさき・こずえ)さん、岡崎琢磨(おかざき・たくま)さん、今野敏(こんの・びん)さん、竹吉優輔(たけよし・ゆうすけ)さん、坂木司(さかき・つかさ)さんといった実力派ミステリ作家による短編。どの作品から読んでも楽しめる充実の一冊です。

あらすじ

お客が探す本をどんなに断片的な情報からでも見つけ出す書店員。 アルバイト先で抱える“アリバイトリック”の悩みを解決する女性バリスタ。 洒落たバーのマスターが出す“薔薇の謎”に挑む刑事たち。 インコ好きの少女の笑顔を取り戻すため奔走するペットショップ店員。 新社会人の幼なじみが抱える問題に向き合うクリーニング店――。 心温まる謎解きが詰まった、お店×ミステリのアンソロジーです。

(本書カバー裏の紹介文より抜粋・編集)

ここに注目!
本書の魅力は「安心して読める謎解き短編集」であることです。血なまぐさい殺人事件は登場せず、日常のちょっとした謎や出来事を題材にしています。

「パンダは囁く」
お客様の本探しを手伝う書店員が主人公です。手がかりが少なく、あいまいで不確かな情報から、探している本を見つけ出す姿は、まさに名探偵。本作は、そんな書店員を題材にした短編ミステリです。新潮社文庫の「パンダ」企画を思い出させる懐かしさもあり、成風堂書店のスタッフによる謎解きは楽しく、結末も爽やかです。

「パリェッタの恋」
京都の専門学校で理学療法士を目指す学生・涼子は、実技試験で不合格となり、講師の瀬古に再試験の特訓を願い出ます。積極的な涼子のアプローチに戸惑いながらも、個人指導を引き受ける瀬古。やがて涼子は、彼の私生活を知るにつれ、好意を抱くようになります。「珈琲店タレーラン」の人気キャラクター、美星バリスタとマスター藻川も登場し、シリーズのファンにはうれしい一作です。

「薔薇の色」
人気警察小説「東京湾臨海署安積班」シリーズの短編。事件を解決した刑事たちが打ち上げを兼ねて集まったバーで、一輪挿しの薔薇をめぐる謎に挑みます。殺人も凶悪事件も出てこない、軽やかで洒落た謎解きが魅力です。本編シリーズでの刑事たちの活躍を、あらためて読みたくなる一編です。

「ペットショップボーイズ&リトルレディ」
郊外の大型ホームセンター内のペットショップでアルバイトする学人と幸多。二人が働く店に通う七歳の少女・瑠璃は、店のマスコットであるインコのルリちゃんが発した「ルリ、シネ」という言葉に大きな衝撃を受けます。少女の心を癒すため、学人と幸多――“ペットショップ・ボーイズ”が奮闘する物語です。動物たちの姿も生き生きと描かれ、温かな気持ちにさせられる作品です。

「東京、東京」
主人公の新井和也は、大学卒業後、生家のクリーニング店を手伝う若者。会社勤めをする同級の仲間をうらやむ気持ちを抱いています。ある日、同じ商店街で育ち、同じ大学を出て広告代理店に就職した麻由子が、悩みを抱えていることを知り……。和也の友人で、喫茶店を切り盛りする沢田の名探偵ぶりが鮮やかに描かれます。クリーニング店の専門知識を活かした職業ミステリとしての面白さも満載です。

今回取り上げた本

書誌情報

やさしいお店で謎解きを お店×ミステリ アンソロジー
細谷正充編、大崎梢・岡崎琢磨・今野敏・竹吉優輔・坂木司著
PHP研究所・双葉文庫
2025年8月9日第1刷発行

カバーデザイン:bookwall
カバーイラストレーション:tabi

目次
第一話 大崎梢「パンダは囁く」
第二話 岡崎琢磨「パリェッタの恋」
第三話 今野敏「薔薇の色」
第四話 竹吉優輔「ペットショップボーイズ&リトルレディ」
第五話 坂木司「東京、東京」
解説 細谷正充

本文308ページ

底本一覧:
「パンダは囁く」(『配達あかずきん 成風堂書店事件メモ』創元推理文庫/2009年)
「パリェッタの恋」(『珈琲店タレーランの事件簿4 ブレイクは五種類のフレーバーで』宝島社文庫/2015年)
「薔薇の色」(『花水木 東京湾臨海署安積班』ハルキ文庫/2009年)
「ペットショップボーイズ&リトルレディ」(『ペットショップボーイズ』光文社/2016年)
「東京、東京」(『切れない糸』創元推理文庫/2009年)

細谷正充編|時代小説ガイド
細谷正充|ほそやまさみつ|文芸評論家・書評家1963年生まれ。時代小説、ミステリーなどのエンターテインメントを対象に、評論・執筆。自宅に20万冊という膨大な書庫を持つ蔵書家。2018年より、優れたエンターテインメント小説5作品を選出して「細...