2026年10月1日から10月10日に文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。おすすめの新刊の紹介文は、Amazonの内容紹介より抜粋・編集しています。各タイトルの詳細はAmazon.co.jpの紹介ページからご覧いただけます。
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おすすめ
実業之日本社文庫
伊東潤『デウスの城』(実業之日本社文庫)
ここに注目!
舞台は、日本史上最大級の内戦となった島原の乱。関ケ原の戦いで西軍に属した小西行長に仕えていた彦九郎と善大夫、そして肥後に残った佐平次という、幼馴染みの三人のキリシタン侍を軸に物語が展開します。
主家を失った三人は、それぞれ異なる道を歩みます。そして、キリシタンへの激しい弾圧と苛政の果てに島原の乱が勃発すると、かつての友は敵味方に分かれて再会することになります。
幕府軍十二万、一揆軍三万七千という壮絶な戦いの中で問われるのは、信仰とは何か、自由とは何か、そして生きるとは何かという根源的なテーマ。宗教と戦争を真正面から描いた、重厚な歴史大作に注目です。
小学館文庫
林真理子『平家物語』(小学館文庫)
ここに注目!
平清盛を頂点に栄華を極めながら、わずかな年月のうちに壇ノ浦の海へと消えていった平家。その栄枯盛衰を描いた古典文学の傑作『平家物語』を、林真理子さんが現代の読者に向けて大胆に小説化しました。
本作の大きな特徴は、平清盛、源義経、後白河法皇、建礼門院徳子ら九人の主要人物それぞれの視点から、一章完結形式で物語を描いていることです。原典では十分に語られなかった登場人物たちの胸の内、とりわけ女性たちの思いや葛藤に光を当てているところも読みどころです。
古典の物語を知っている人には新たな発見があり、『平家物語』は長くて難しそうと敬遠してきた人にも入りやすい、“令和の平家物語”。さらに「大原御幸」のその先まで描かれるという結末も気になります。『六条御息所 源氏がたり』『STORY OF UJI』に続く、“林真理子源平三部作”の完結作です。
有馬美季子『ご縁おむすび屋 継父の生姜ご飯』(小学館文庫)
ここに注目!
湯治から帰ってきた〈ご縁おむすび屋〉のお結を待っていたのは、思いもよらない縁談でした。十八歳のお秋が望むお見合い相手の条件は、「料理人であること」。そこで仕事仲間のヨネが紹介しようとしたのは、なんと、お結がほのかな思いを寄せる〈春屋〉の料理人・善吉でした。
人と人との縁を結ぶ仕事をしながら、自分自身の恋心には戸惑ってしまうお結。そんな彼女の心の揺れとともに、お秋がなぜ料理人との縁組を望むのかも気になるところです。
おいしい料理が人の心をほぐし、新たな縁を結んでいく「ご縁おむすび屋」シリーズ第2弾。タイトルにもなっている「生姜ご飯」が、どのような人の思いと縁をつないでいくのか、楽しみな一冊です。
文芸社文庫
白蔵盈太『めおとの左甚五郎』(文芸社文庫)
ここに注目!
三度の飯より彫り物が好きな、天下一の彫り物職人・左甚五郎を主人公にした人気シリーズが、ついに完結を迎えます。
二年前に死んだはずの妻・美弥と再び暮らすようになった甚五郎。しかし、愛する妻との生活を取り戻した一方で、これまでひたすら打ち込んできた彫り物に迷いが生じます。そんな甚五郎のもとに、ある勝負の話が持ち込まれ、その相手は思いもよらない人物でした。
職人として何を目指すのか。そして、美弥とどのような人生を歩んでいくのか。弁天様との不思議な関係や、政五郎、伊蔵らおなじみの面々の思いも絡み合います。タイトルの「めおと」が示すように、職人・左甚五郎だけでなく、一人の男としての甚五郎がどんな「幸せのかたち」にたどり着くのか、シリーズの締めくくりに注目です。
文春文庫
井原忠政『真田武士心得〈四〉 昌幸純情』(文春文庫)
ここに注目!
六歳で両親を失った主人公・鈴木右近は、自分を救ってくれた真田信之への恩を胸に抱く一方、両親を死に追いやった中山九兵衛への復讐を誓ってきました。
関ケ原の戦いから三年。右近は百五十石の領主となり、妻や家族、領民の暮らしを背負う立場になっています。かつて守られる側だった少年が、今では多くの人を守る男へと成長しました。
そんな右近が、仇を追った先で出会うのが、九兵衛の幼い娘。
親の仇の娘を前にして、右近はどうするのか――。恩を返したい、仇を討ちたい、そして目の前の人を守りたい。相反する思いの間で右近がどのような決断を下すのかが、大きな読みどころです。
一方、九度山では真田昌幸と信繁が流人生活を続けています。関ケ原によって敵味方に分かれても、信之と昌幸、信繁が親子、兄弟であることに変わりはありません。その間を行き来する右近を通して描かれる真田父子の情愛も大きな読みどころです。
朝日文庫
菊池仁編『朝日文庫時代小説アンソロジー『えにし』』(朝日文庫)
ここに注目!
タイトルの「えにし」が示すように、人と人との不思議な縁や結びつきを描いた時代小説六編を収めたアンソロジーです。
知り合いの借金を背負い、妻にも逃げられた男が、若くして自ら命を絶った友人の声を聞く「呼ぶ声」。尼僧が教える風変わりな寺子屋に、それぞれ事情を抱えた子どもたちが集まる「彼は誰ぞ」など、人生の苦しみや悲しみを抱えながら生きる人々と、彼らを支える「縁」が描かれます。
執筆陣は、あさのあつこ、梶よう子、篠綾子、野口卓、藤原緋沙子、宮本昌孝の六人。編者は文芸評論家の菊池仁さんです。
時代小説の第一線で活躍してきた作家たちが、「えにし」というテーマをどのように物語に託したのか。六人六様の人情の機微と、それぞれに異なる時代小説の味わいを一冊で楽しめるのがこのアンソロジーです。
幻冬舎文庫
坂井希久子『市松師匠幕末ろまん 都鳥』(幻冬舎文庫)
ここに注目!
訳アリの人生を歩んできた、凄腕の三味線師匠・市松を主人公にしたシリーズ第2弾。超絶美人ながら、ひと筋縄ではいかない市松の人物像も、このシリーズの大きな魅力です。
今回は、妹弟子の芸者・お蝶への恩返しのため、芸者の真似事をしようと品川へ向かいます。その途中で市松が出会ったのは、ふらつきながら歩いている上品な顔立ちの若い娘。二人組のごろつきに襲われそうになっているところを助けたことから、新たな物語が動き始めます。
幕末という激動の時代を背景にしながら、描かれるのは傷や事情を抱えて生きる人々です。人は一人では生きられないからこそ、誰かに寄り添い、また誰かの温もりに救われる――。市松と若い娘との出会いが、どのような「縁」へとつながっていくのか気になります。
光文社文庫
岩井三四二『津軽の髭殿』(光文社文庫)
ここに注目!
主人公は、戦国時代の津軽で勢力を広げ、のちに弘前藩の礎を築いた津軽為信です。
南部氏支族のさらに傍流という立場から身を起こした弥四郎(のちの為信)は、母から「大将軍になりなされ」と言い聞かされて育ちます。やがて自分に好意を寄せる大浦家の次女・おうらの婿となり、そこを足がかりにして、のし上がっていきます。
家柄や境遇に恵まれなくても、知恵と度胸、そして使えるものは何でも使って道を切り開く。そんな為信が仲間たちとあらゆる手管を駆使し、津軽の覇者へと駆け上がっていく姿が大きな読みどころです。
謀略も裏切りも当たり前の戦国乱世を、野心たっぷりに生き抜いた津軽為信。地方の一武将がいかにして一国一城の主となったのか、その痛快な成り上がり人生を楽しみたい一冊です。
由原かのん『五穀の神隠し ねこまた 狸穴素浪人始末(二)』(光文社文庫)
ここに注目!
飯倉の荒物屋〈伊文字屋〉で「防ぎ(用心棒)」を務める浪人・猫矢又四郎には、ちょっと変わった力があります。相棒の黒猫・かちんと心を通わせることができるのです。
そんな又四郎の身近で、伊文字屋の小僧・麦松が突然姿を消します。しかも、近隣では麦松と同じ十歳の子どもたちが相次いで失踪していました。又四郎が捜索を始めると、次々と奇怪な出来事が起こり、やがて消えた子どもたちの間に不思議な共通点が浮かび上がってきます。
浪人が事件の謎を追う時代ミステリーに、黒猫との交流や怪異の気配を組み合わせたところが本シリーズの面白さ。タイトルの「五穀の神隠し」が、子どもたちの失踪とどのようにつながっていくのでしょうか。著者・由原かのんさんによる手描き地図が収録されているのも楽しみな、シリーズ第2弾です。
稲葉稔『船頭同心 奉行の命』(光文社文庫)
ここに注目!
主人公・沢村伝次郎は、南町奉行の密偵を辞め、浪人となっていました。そんな伝次郎のもとに突然、呼び出しがかかります。呼び出した人物は、北町奉行の遠山左衛門尉景元――ご存じ「遠山の金さん」です。
江戸の治安悪化、とりわけ水際で頻発する犯罪に頭を悩ませていた遠山が目をつけたのが、かつて南町奉行の懐刀として働いていた伝次郎でした。遠山から伝次郎に下される最初の「密命」とは何なのか。そして、「船頭同心」となった伝次郎が江戸の水辺でどんな事件に立ち向かうのか、期待が膨らみます。
『剣客船頭』『隠密船頭』に続いて始まる、稲葉稔さんの第三の「船頭」シリーズ。江戸の町を縦横に流れる川や堀を舞台に、船頭と同心という二つの顔を持つ主人公が活躍する、新シリーズの船出に注目です。
山本巧次『南蛮船の影 新九郎 古今捕物控』(光文社文庫)
ここに注目!
文化七年(1810)の江戸。不審な幽霊船が騒ぎを引き起こすなか、廻船問屋・津島屋の主、隆蔵が何者かに殺されます。探索に乗り出したのは、南町奉行所定町廻り同心の瀬波新九郎です。
やがて津島屋の周辺に「抜け荷」の疑いが浮かび、新九郎は古文書と古い数珠を発見。さらにキリシタンの存在まで絡んできて、ひとつの殺人事件から思いもよらない方向へと謎が広がっていきます。
鎖国下の江戸に現れた幽霊船、抜け荷、そしてキリシタン――。捕物帳の面白さに海を越えた大きな謎を絡めた、スケール感のある展開が楽しめそうです。「八丁堀のおゆう」シリーズの著者が描く「新九郎 古今捕物控」、書き下ろし第3弾です。
PHP文芸文庫
武川佑『真田の具足師』(PHP文芸文庫)
ここに注目!
真田信繁を「日の本一の兵」にしたのは、彼らが身につける戦装束を作った具足師たちだった――。そんなユニークな視点から真田と徳川の戦いを描く戦国小説です。
主人公は奈良の具足師・岩井与左衛門。「ズク(不良品)を打った」とされて廃嫡された彼の才能に目をつけたのが、徳川家康でした。真田との戦いで徳川軍が惨敗した理由の一つは、真田兵の具足にあるのではないか。そう考えた家康は、「不死身の具足」の秘密を探るため、与左衛門を真田の本拠へ潜入させます。
甲賀の忍びの女と夫婦を装って上田城下へ入るという設定も、何ともわくわくさせられます。
戦国小説といえば武将や軍師に目が向きがちですが、本書の主役は戦場で命を守る具足を作る職人です。「人が死なない具足を作りたい」と願う与左衛門の矜持と、戦うための道具を作らなければならない職人としての葛藤。真田vs徳川というおなじみの戦いを「ものづくり」の側から描いたところが出色です。
祥伝社文庫
畠山健二『新 本所おけら長屋(六)』(祥伝社文庫)
ここに注目!
累計240万部を超える人気人情時代小説シリーズの第6弾。今回も、おけら長屋の面々が、人様の厄介事に首を突っ込み、笑わせて、泣かせてくれます。
結ばれることのなかった幼馴染みの男女の四十年越しの恋をつなぐ「もとくら」、亡き友の家族のために怪我を押して走る飛脚を描く「あしなが」、困った縁談をめぐって万造と松吉が一肌脱ぐ「こわしや」、愛する人との忘れ形見を手放してしまった男の後悔と真情を描く「かげおや」の四編を収録。
描かれる事情はそれぞれ違っても、その根底にあるのは、人を放っておけないおけら長屋の住人たちの情の厚さです。四十年越しの恋から親子の情まで、笑いの中にほろりとさせる人情噺を盛り込んだ、「すさんだ心のお洗濯」にぴったりの一冊です。
麻宮好『筆耕屋だんまり堂(四)時をかける文』(祥伝社文庫)
ここに注目!
主人公は、口を利くことのできない筆耕師・数馬。人の代わりに文字を書くことを生業とする彼が、その確かな目で文字に込められた人々の思いを読み解いていく人情時代シリーズの第4弾です。
今回、菓子屋の主人・伊佐治から持ち込まれたのは、二十年前に急逝した父が書いたという謎の文でした。そこには菓子の作り方が記されていましたが、本文と宛名の筆跡が異なり、製法にも不可解なところがあります。亡くなった父が本当に書いたものなのか。そして、なぜ二十年もの時を経て、今になって届いたのでしょうか。
さらに、亡き夫が浮気相手に宛てた文や、鳴らない太鼓に刻まれた俳諧など、「文字」を手掛かりに過去に秘められた人の思いを解き明かしていきます。
言葉は書き残すことで、書いた人がいなくなっても時を越えて誰かに届くことがあります。タイトルの「時をかける文」の通り、文字に残された謎を解く面白さと、時を越えて伝わる人の思いを味わえるところが、本書最大の読みどころです。
新刊リスト(文庫|1日~10日)
!おすすめ度
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■:新装版/復刊
♪ :気になる/チェックしたい
◎:文庫書き下ろし






























![『さきたま文庫7三峯神社(秩父)[改訂版]』](/photos/100/4878912839.jpg)












