贋作事件で消えた絵師の真相を探す、若き藩士の苦悩

狂花一輪 京に消えた絵師三好昌子さんの文庫書き下ろし時代小説、『狂花一輪 京に消えた絵師』(宝島社文庫)を入手しました。

著者は、『京の縁結び 縁見屋の娘』で第15回『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞を受賞して、2017年にデビュー。嵯峨美術短期大学洋画専攻科卒業で、絵画に造詣が深いことを生かし、『群青の闇 薄明の絵師』『幽玄の絵師 百鬼遊行絵巻』と、絵師を題材にした時代小説を発表しています。

叔父のもとで成長した若き藩士、木島龍吾の目は、生まれながらに色を見る力を持っていなかった。その龍吾に、先代藩主は、実の父、兵庫の捜索を命じる。兵庫は出奔後、京で水墨画の絵師浮島狂花として生きていたが、贋作事件を起こして、行方知れずになっていた。狂花の弟子たちを訪ね歩くうちに、龍吾は事件に隠された真相と、狂花の絵の中にある真実を見抜く。それは、兵庫が龍吾と同じ目を持つ証でもあった。
(文庫カバー裏の紹介文より)

主人公の木島龍吾は、福知山藩の御用所、右筆方筆頭を勤める、二十六歳の若き藩士。夫婦になってまだ一年に満たない妻の華乃を実家に帰らせたまま。龍吾には人に言えない想いを持っていました。

龍吾の見る世界には色がなく、ただ、白と黒と、その間に連なる無限の灰色があるだけでした。そのことに気付いた育ての母の初から、この世のすべてには様々な色があることを、物と色の名前を教えられてきました。

しかし、龍吾は次第に、人と同じ景色を共有できないことが苦痛になり、おのずと他者を避けるようになっていきました。

龍吾の抱えている秘密が明らかにされていき、物語の世界に一気に引き込まれていきました。

目次
第一章 春雷
第二章 青嵐
第三章 風待月
第四章 沙羅

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『狂花一輪 京に消えた絵師』(三好昌子・宝島社文庫)
『群青の闇 薄明の絵師』(三好昌子・時代小説文庫)
『幽玄の絵師 百鬼遊行絵巻』(三好昌子・新潮社)

三好昌子|時代小説ガイド
三好昌子|みよしあきこ|時代小説・作家 1958年、岡山県生まれ。 嵯峨美術短期大学洋画専攻科卒業。 『京の縁結び 縁見屋の娘』で、第15回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、2017年にデビュー。 ■時代小説SH...