2023年時代小説SHOWベスト10、発表!

津田助広二尺三寸五分を手に凄腕与力が、本所深川を守る

アドセンス広告、アフィリエイトを利用しています。
スポンサーリンク

隼人始末剣 最強の本所方与力 大岡暗殺誉田龍一(ほんだりゅういち)さんの『隼人始末剣 最強の本所方与力 大岡暗殺』がコスミック・時代文庫から刊行されました。

本所方与力、上村隼人は、大名屋敷も多い本所や深川を取り仕切る、この地域の事実上の実力者で、ここでは将軍さまのような存在であった。それゆえ、人々はその苗字を重ね合わせて「上さま」と呼んで親しんでいた。
そんな上さまは、時の南町奉行で上役の大岡越前守とも昵懇の仲。型破りな捜索で必ず下手人を挙げる隼人の手腕を、大岡は大いに買ってくれたのだ。
その信頼する大岡が討たれた。との報せが入った。現場に駆け付ける隼人は、そこで驚愕の光景を目にする。果たして大物奉行を狙った黒幕とは……!?

『隼人始末剣 最強の本所方与力』に続く、第2巻。本シリーズの主人公は、“本所の上さま”と呼ばれる、南町奉行所本所方与力の上村隼人(うえむらはやと)です。

本所にはかつて本所奉行が置かれていましたが、正徳三年(1713年)に廃止されて、町奉行所の下に「本所方」(与力1名、同心2名)が置かれました。

隼人の下には、五十嵐貴昌と中野正三郎の二人の同心が付けられて、本所・深川一帯を取り仕切る岡っ引き、赤裏の勘太とともに下手人の探索を行います。

本書の魅力は、深川佐賀町の船宿「鹿屋」に入り浸って、二人の部下と岡っ引きとともに型破りな探索を続け、津田助広二尺三寸五分を抜いて悪を斬り、難解な事件の謎を鮮やかに解決する隼人の活躍ぶりです。

「ま、町方が旗本を捕縛はできないはずだ……」
「やかましいや」
 隼人が啖呵を切った。
「寝言は寝て言いやがれ」
 隼人は一歩踏み出した。
「てめぇらのような鬼畜を大掃除するのに、町方も権限もヘチマもねぇ」
 隼人は十手をかざした。
「この本所の上さまが、退治してやらあ」
(『隼人始末剣 最強の本所方与力 大岡暗殺』P.93より)

その口舌も何とも痛快で、コスミック・時代文庫らしい明朗快活な時代小説です。
馴染みの関係である「鹿屋」の女将・お雪との関係とともに、隼人のさらなる活躍ぶりが気になるシリーズです。

◎書誌データ
『隼人始末剣 最強の本所方与力 大岡暗殺』
著者:誉田龍一
コスミック出版・コスミック・時代文庫
第1版第1刷:2018年2月25日
ISBN978-4-7747-1406-6

カバーイラスト:渡邉文也
266ページ

●目次
第一話 消えた三万両
第二話 濡れ衣を晴らせ
第三話 大岡暗殺

■Amazon.co.jp
『隼人始末剣 最強の本所方与力 大岡暗殺』(誉田龍一・コスミック・時代文庫)