2020年文庫書き下ろし時代小説ベスト10、公開

下総国十一万石の城下町、佐倉を散歩する

胡蝶の夢(一)春のある日、千葉県の佐倉を訪れました。
佐倉は2度目で、前回は国立歴史民俗博物館(歴博)で時間を多く取り過ぎて佐倉城址公園を見て帰ってきました。
今回は、京成本線の京成佐倉駅を出発して、観光協会でレンタサイクルを借りて、佐倉順天堂記念館、旧堀田邸、武家屋敷、そしてDIC川村記念美術館を回るルートにしました。

佐倉行きを思い立ったのは、AmazonプライムでTVドラマ「JIN -仁-」【TBSオンデマンド】を見たこと。2009年10月にTBSで放送されたときに見ていなかったこともあって今更ながらに、感動してはまってしまいました。

佐倉順天堂記念館
佐倉は、主人公の南方仁(みなかたじん)が勤めていた東都大学付属病院のモデルとなった順天堂病院の創立の地であり、佐倉順天堂記念館があります。
記念館では、手術器具や療治定(治療別の料金表)が展示され、順天堂で膀胱穿刺、帝王切開、乳がん摘出など、当時としては最高水準の医術が実施されていたことを伝えています。

[map addr=”千葉県佐倉市本町81″]

また、最後の佐倉藩主・堀田正倫(ほったまさとも)の邸宅・旧堀田邸はTVドラマ「JIN -仁-」のロケ地に使用されていました。

さて、佐倉順天堂が登場する時代小説に、司馬遼太郎さんの『胡蝶の夢』があります。
蘭方医・松本良順と弟子で伊之助を中心に、蘭学という時代を先取りした若者たちの眼を通して幕末維新を描いた歴史長編です。

 数日後の朝、伊之助はようやく相州屋を出た。べつに悪びれた様子もない。
 本町の順天堂までは、さほどかからなかった。
(これが順天堂か)
 門前に立って玄関を見すかした。気勢い立っているわけでもなく、ただ見ただけのことである。物事の前後に気を使う感覚がにぶいために、薄気味わるいほど冷静である。
(『胡蝶の夢(一)』P.255より)

佐倉の蘭方医学塾「順天堂」は、当時、「蘭方医学を学ぶなら佐倉にゆけ」といわれ、大坂の緒方洪庵の「適塾」と並んで、日本における二大蘭学塾となっていました。
江戸から佐倉に移り住んで、順天堂を創設したのが、『胡蝶の夢』の主人公松本良順の父、佐藤泰然です。

物語では、良順は、故あって江戸に居られなくなった伊之助を佐倉の順天堂に託します。
蘭方医学の研究と発展にチャレンジングに取り組む良順と、語学の天才ながら特異の性格のために周囲に受け入れられず挫折を繰り返す伊之助、二人の波瀾に満ちた生きざまが描かれていきます。

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『胡蝶の夢(一)』(司馬遼太郎・新潮文庫)

日曜劇場「JIN -仁-」|TBS番組表