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帰省代わりに望郷酒場に行こう
森まゆみさんの『望郷酒場を行く』(PHP新書)を読んでいる。東京にある47都道府県を代表する酒場を紹介する楽しい企画。『「懐かしの昭和」を食べ歩く』の姉妹編といったところ。レポートの達人である筆者の筆と、涎が垂れてきそうなビビッドな写真を通じて、故郷の味が、県民性とともに伝わってきて、TVの「秘密のケンミンSHOW」に通じる面白さがある。
「望郷酒場」というと、地方出身者が集う酒場(郷土料理屋、居酒屋、小料理屋)で、なんとも昭和の香りがして、ノスタルジーを感じる。千昌夫さんの歌にあるようだ。本では、南の沖縄から順に、1県1酒場ずつ紹介されている。しかし、単なる酒場紹介本ではなく、その店の歴史や故郷の味、特産品、県民性などに触れられていく。東京にありながら、上質な紀行文のようである。
「私は死んでいった人の世話をしたんだから、あなたは生き残った人たちのお世話をしなさい」という言葉から生まれた、特攻隊の母、鳥浜トメさんのお孫さん店「薩摩おごじょ」(鹿児島)の紹介記事を読んでいて、不覚にも目頭が熱くなってしまった。
郷土料理の店というと、他県出身者には敷居が高い感じで、今までほとんど行ったことがなかった。長年タウン誌を編集発行されてきた筆者ならではのツボを押さえた酒場紹介で、紹介された店に行ってみたくなる。店のオーナーやゲスト(その店ゆかりの地方出身者)から取っておきのエピソードや人柄を引き出されているので、この本を読んでいれば初めて行っても温かく迎えてもらえそう。
今年の夏も終わりに近づいてきた。仕事や家族旅行を優先して、帰省をしていないのが心苦しい。望郷酒場に出かけて故郷の味とことばに浸ってみるのもいいかもしれない。
望郷酒場を行く (PHP新書)
「懐かしの昭和」を食べ歩く (PHP新書)
2010年8月21日 | カテゴリー99)その他
元同心が蕎麦屋の主人を務める、異色捕物小説
千野隆司さんの『夏越しの夜 蕎麦売り平次郎人情帖』を読み始めた。ハルキ時代小説文庫では同じ作者の「南町同心早瀬惣十郎捕物控」シリーズが好評だが、新たな新シリーズの登場だ。
元・定町廻り同心が蕎麦屋になって捕物を続けるものとしては、村上元三さんの『加田三七 捕物そば屋』がある。『夏越しの夜 蕎麦売り平次郎人情帖』の主人公・菊薗平次郎は、わけあって隠居し本芝入横町の裏長屋に住み、蕎麦売りを始めた。
平次郎の作る蕎麦が美味しいそうだ。蕎麦一杯が二十二文(普通は十六文のところ)と高いが、とくに出し汁の取り方などが玄人ぽくて、読んでいるうちに食べたくなり、つゆをすすってみたくなる。人々に一杯のぬくもりばかりでなく幸せを与える。
さて、主人公のつくる蕎麦のように、物語では、蕎麦売りの平次郎は苦悩や悲しみを背負った人たちを救うために仲間たちと協力して活躍する。元同心ながら、威張ったところがなく、市井に溶け込もうとしている。
「覗き見夜鷹」では、同じ長屋に住み、夜鷹をして稼いだ金を高利で貸して周囲の者からは嫌われる女・おてつを助ける。「芋飯の匂い」では、やはり同じ長屋に住み、胃の病を抱える浪人・長谷川忠兵衛の苦境を救うべく、平次郎は立ち上がる。「夏越しの夜」では、商売の縄張り争いで意地悪をされる先輩の蕎麦売り・熊十一家の苦境に命を張る…。
平次郎が助ける者たちが、夜鷹であったり、物貰いであったり、貧しい付け木売りだったりするが、偏見なく、それぞれの中に美質を発見して付き合う。また、そんな平次郎だから、彼を慕う仲間たちも損得抜きに協力を惜しまない。読んでいるうちに気持ちが浄化される作品である。
タイトルにある、「夏越し(なごし)」とは、師走の大晦日を「年越しの祓」というのに対して、六月晦日に行う祓いを「夏越しの祓」といった。七月から秋になる前日、夏の間の穢れを祓うために行われた。形代の人形に穢れを移して自分の代わりに川や海に流したり、茅の輪を潜ったりして、禊ぎをしたことにするのが、「夏越しの祓」の常といわれる。
夏越しの夜 (ハルキ文庫 ち 1-9 時代小説文庫 蕎麦売り平次郎人情帖)
2010年8月12日 | カテゴリー01)時代小説,市井,捕物
WePublishにユニークな電子書籍コンテンツが登場
WePublishは、Online Editorを通じて作成した電子書籍コンテンツを公開できるウェブサイト(http://wepublish.jp/)も同時にオープンした。こちらは、iPadの専用アプリ「WePublish for iPad」(無料)を使って閲覧できる。
使い方はこんな感じだ。
1.iPadのAppStoreから「WePublish for iPad」をインストールする。
2.「WePublish for iPad」を起動し、本棚の画面の右上にある「購入」をタップすると、ウェブブラウザの「Safari」が起動して、WePublishのWebサイトに接続される。
3.WePublishの上部メニューの「MYページ」をクリックして、会員用のIDとパスワードでログインする。会員でない場合は、ここで会員登録(無料)をする。
4.読みたい電子書籍コンテンツを選んで、カートに入れて購入手続きをする。購入手続きが完了すると、電子書籍コンテンツのダウンロードができる。
5.iPadアプリの「WePublish for iPad」をもう一度起動すると、本棚に4で購入した電子書籍コンテンツが表示される。本を表紙をタップすると、閲覧できる。
現在公開中の電子書籍は無料のものばかりだが、今後、有料のコンテンツも追加される予定。なお、iPhone版のアプリも現在開発中ということで、完成が待たれる。
| カテゴリー06)iPad
電子書籍が作成できる「WePublish」サービス開始
iPadの専用アプリで読むことができる電子書籍が作成できる「WePublish(ウィーパブリッシュ)」がサービスをスタートした。
WePublishの電子書籍作成サービスはこんな感じだ。
1.WePublishの会員登録(無料)をする。会員登録はPCもしくはiPadから専用ウェブサイト(http://wepublish.jp/)できる。
2.WePublish専用の電子書籍作成サービスサイト「Online Editor(オンラインエディター)」(http://editor.mybooks.jp/wepublish/)にアクセスし、会員のIDとパスワードでログインする。
3.Online Editorでは、MT(Movable Type)形式のテキストファイルを取り込んで、記事の追加・削除・修正ができるほか、表紙や本文のレイアウトをテンプレートから選ぶことができる。MT形式のファイルがない場合は、ブログの記事を書く要領で一からコンテンツを作成できる。すでに原稿がある場合はコピペも可能。
4.電子コンテンツの仕上がり見本をプレビューもできるので、ほぼイメージどおりに作成できる。電子書籍用の原稿が完成すると、「Publish」ボタンを押すと、電子書籍コンテンツが出来上がり、WePublish側に登録申請が出される。
5.WePublishで承認されるとメールが届き、商品登録情報を送って作業完了。WePublishサイトで、電子書籍コンテンツの公開(販売)が始まる。
このサービスを使用して、2005年から書いているブログ「ほぼ日刊時代小説」を電子書籍化した。昨日、Online Editorを使って「Publish」したので、近日中にWePublishを通じて公開できる予定。
| カテゴリー06)iPad
田牧大和さんの新連載
『文蔵 2010.8』(PHP文庫)が家に届いた。特集は、知識ゼロから「警察小説」を楽しむ。笹本稜平さん、乃南アサさん、誉田哲也さんへのインタビューのほか、今、ブームの「警察小説」を楽しむための、警察の基礎知識をやさしく解説し、テーマ別に注目の小説を紹介している。
時代小説ファンとしては、田牧大和(たまきやまと)さんの新連載「鯖猫長屋浮世ばなし」が始まったとことが何よりもうれしい。作品がなかなか文庫化されないせいか、田牧さんの作品を読む機会がなかっただけに、楽しみである。
文蔵 2010.8 (PHP文庫)
2010年8月5日 | カテゴリー99)その他
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