第11回江戸検、今年のお題は「天下大変 江戸の災害と復興」

第11回江戸文化歴史検定第11回を迎える、江戸文化歴史検定(江戸検)は平成28年11月3日(木・祝)に東京・名古屋・大阪で開催されます。受検申込期間は9月27日(火)まで。

今年のお題は、「天下大変 江戸の災害と復興」。戦乱もなく平和が続いた江戸時代ですが、大火に遭い、地震、津波、火山噴火、風水害などのしばしば災害に見舞われました。天然痘やコレラなどの疫病にも悩まされ、多くの人命が失われてきました。

人々は災害を前に、なすすべもなく手をこまねいていたわけではなく、防火体制を整え、河川を改修し、非常食を備蓄するなどして災害に備えるとともに、幕府や藩、さらに町や村で団結して、復興を遂げてきたのです。

江戸時代には、社会を揺るがす大事件のことを「大変」と呼んでいました。時代小説では、安政大地震を描いた、出久根達郎さんの『安政大変』、寛政四年の雲仙普賢岳の噴火を描いた、白石一郎さんの『島原大変』が思い出され、ほかにも災害を描いた作品は少なくありません。

江戸文化歴史検定

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『安政大変』(出久根達郎著・文春文庫)
『島原大変』(白石一郎著・文春文庫・Kindle版)


第155回直木賞候補に、『家康、江戸を建てる』、『天下人の茶』

『家康、江戸を建てる』6月20日(月)、第155回直木三十五賞(日本文学振興会主催)の候補作品5作が決定しました。時代小説では、門井慶喜(かどいよしのぶ)さんの『家康、江戸を建てる』(祥伝社)と、伊東潤さんの『天下人の茶』(文藝春秋)の2作品が候補に入りました。

『家康、江戸を建てる』は、徳川家康による一大プロジェクト、江戸の街づくりを描いた快作。『天下人の茶』は、茶の湯によって人々の心の内を支配した千利休と、天下人秀吉との相克を描いた戦国時代小説。

門井さんは『東京帝大叡古教授』(第153回)に次いで2回目の候補、伊東さんは『城を噛ませた男』(第146回)、『国を蹴った男』(第148回)、『巨鯨の海』(第149回)、『王になろうとした男』(第150回)と、5回目の候補になります。伊東さんは千利休という切り札を出した今回は、受賞してもおかしくないかもしれません。受賞作を決める選考会は7月19日に行われます。

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『家康、江戸を建てる』
『天下人の茶』

出典:文藝春秋 直木賞最新情報より

喜安幸夫さんの文庫『流離の姫 用心棒 若杉兵庫』の解説を書きました

流離の姫 用心棒 若杉兵庫喜安幸夫(きやすゆきお)さんの書き下ろし時代小説、『流離の姫 用心棒 若杉兵庫』が角川文庫より刊行されました。

加賀藩腰物奉行で剣の達人でもある若杉兵庫は、藩主・前田斉泰から極秘の主命を受けた。それは若き頃、情を通じた女性の探索。だが、彼女は既に亡くなっており、斉泰との子・千鶴が出生の秘密を知らずに、町娘として音羽町の長屋で暮らしていることを突き止めた。千鶴を密かに護れ、と命じられた兵庫は長屋の近くに住んで用心棒となる。凶盗・夜烏組や斉泰の正室・溶姫の魔の手から、加賀百万石の姫を護る日々が始まった……。


物語は、十七年前に板橋の山中での出来事、十年前に品川の両替商が見舞われた惨劇、そして今(弘化元年)進行中の事件が、複雑に絡み合いながらも、テンポよく展開していきます。ご落胤話を基調にしながらも、人探しあり、長屋の人情あり、チャンバラありの正統派時代小説です。

喜安さんは、池波正太郎さんや平岩弓枝さんら錚々たる作家を輩出した、歴史時代小説の勉強会「新鷹会」出身です。「大江戸番太郎事件帳」シリーズや「隠密家族」シリーズなどの著作があります。本書はそんな江戸の風物や歴史、考証に精通した作家による、江戸ロマンあふれる時代小説。作品を通して、江戸にタイムスリップできそうです。

「流離」と「理流」、音が似ていますが、今回、なんと、本書巻末の解説を書かせていただきました。ぜひ、書店で手に取って、拙文を読んでください。

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『流離の姫 用心棒 若杉兵庫』
『大江戸番太郎事件帳 木戸の闇裁き』
『隠密家族』


「2016年6月の新刊 下」をアップ

村上海賊の娘(一)2016年6月21日から6月30日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2016年6月の新刊 下」を掲載しました。

注目作が目白押しの今回の新刊情報。第十一回本屋大賞を受賞した、和田竜さん『村上海賊の娘(一)』『村上海賊の娘(二)』が新潮文庫から登場します。

時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆、村上海賊。瀬戸内海の島々を勢力下に、強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景(きょう)だった。海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女。この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開く……。


信長vs.本願寺、睨み合いが続く難波海に敢然と向かう、村上海賊(水軍)の娘、景。木津川合戦の史実に基づく壮大な歴史巨編。単行本では上下巻刊行でしたが、文庫化では四冊に分冊され、6月に一、二巻、7月に三、四巻が刊行されます。

爽快感、疾走感みなぎる物語を読んで、梅雨の鬱陶しさを一掃し、気分を高揚させたいと思います。

→2016年6月の新刊 下

『文蔵 2016.7』のブックガイドは、「ねこ小説」に癒されたい!

『文蔵 2016.7』『文蔵 2016.7』(PHP研究所・PHP文芸文庫)のブックガイドは、感動ものからミステリー、時代小説まで 「ねこ小説」に癒されたい! です。

「ネコノミクス」と呼ばれ、その経済効果は2兆円を超えるともいわれる、空前の「猫ブーム」。というわけか、今月号のブックガイドは青木逸美さんが、おすすめの「ねこ小説」を紹介します。もちろん、猫が活躍する時代小説も取り上げています。

猫が活躍する時代小説というと、田牧大和さんの『鯖猫長屋ふしぎ草紙』や『緋色からくり 女錠前師謎とき帖』が思い出されます。澤田瞳子さんの編集の時代小説アンソロジー『大江戸猫三昧 時代小説傑作選』も、いろいろな猫たちが登場して、面白かったです

時代小説ファンとしては、宮本昌孝さんの「天離り果つる国(あまさかりはつるくに)」の連載のスタートと、葉室麟さんの「墨龍賦」の最終回も見逃せません。宮本さんの新連載は、飛騨で生まれ、竹中半兵衛重治の側近の子となった七龍太の波瀾万丈の日々を描いていきます。

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『文蔵 2016.7』(PHP文芸文庫)
『鯖猫長屋ふしぎ草紙』(PHP研究所)
『緋色からくり 女錠前師謎とき帖』(新潮文庫)
『大江戸猫三昧 時代小説傑作選』(徳間文庫)

⇒『文蔵』ホームページ