時代小説●文庫新刊情報|2024年6月中旬の新刊(11日→20日)
2024年6月11日から6月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リストです。新刊の各タイトルは、Amazon.co.jpの詳細紹介ページにリンクを張っています。
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光文社文庫
知野みさきさんの『照らす鬼灯 上絵師律の似面絵帖』
手掛けた着物の評判がよく、律に名指しで着物の仕事が入りました。しかしそれは、死装束に「地獄絵」を描いて欲しいという注文で、律の気は乗りません。そんな折、親類の弔問で訪れた王子で知り合った上方言葉の男・余助が、突然、律の仕事場にやってきて――。
似面絵の腕前も冴え、妻として絵師として充実した日々を送る律が人生の新たな局面を迎える。好評シリーズ第10弾。
祥伝社文庫
志川節子さんの『博覧男爵』
真の文明国とは。開国迫られる幕末、幕府の命で巴里万博に赴いた田中芳男は、最先端の近代文化に衝撃を受けました。なかでも植物園ジャルダン・デ・プラントの多彩な収集品と展示方法に打ちのめされた田中は、知の蓄積と普及の重要性を痛感し、日の本初の博物館や動物園創設に奔走します……。福沢諭吉、渋沢栄一と並び、武力に頼らぬ知の文明開化に挑んだ男の壮大な人生。
河合莞爾さんの『かばい屋弁之助吟味控』
乗じ逃げた忠吉は、大名家の子息で今は町人身分の弁之助に、無実を訴えました。公事方御定書編纂にも関わった弁之助が調べると、現場に火薬の痕跡は無く、火事の折美しい振袖が空を舞ったという噂が。弁護する者なきお白洲で、弁之助が冤を晴らします。
畠山健二さんの『新 本所おけら長屋(一)』
あれから三年。江戸は本所亀沢町にある貧乏長屋に、長崎留学に行っていた万造とお満が帰ってきました。万造、松吉の「万松」コンビ、左官の八五郎・お里夫婦や後家女のお染、 浪人の島田鉄斎ら個性的な面々と再会! 人情とお節介で下町界隈でも名高い「おけら長屋」では、今日も笑いと涙 の“珍”騒動が巻き起こって……。帰ってきたおけら長屋、笑って泣ける全3篇。
双葉文庫
坂岡真さんの『はぐれ又兵衛例繰控【九】- 鹿殺し』
花火で賑わう大川端でみつかった薬種問屋の主の屍骸。妻の静香らと花火見物に繰りだした際に偶さか屍骸を目の当たりにした又兵衛は、喉に鹿の角が刺さった異様な死に不審を抱き、殺しの真相を追いはじめます。その途上、遠い奈良の地で起きていた大量の鹿殺しと、町方も知らぬ凶賊が暗躍している事実が判明し……。
怒りに月代朱に染めて、許せぬ悪を影裁き。痛快時代シリーズ第9弾。
井原忠政さんの『三河雑兵心得【十四】 豊臣仁義』
太閤秀吉の居城となる伏見城が落成しました。祝賀気分も冷めやらぬ中、盗賊石川五右衛門が三条河原で釜茹での刑に処せられました。凄惨な光景に茂兵衛も顔を顰めるしかありません。
無謀な「唐入り」も強行し、最近の秀吉は箍が外れています。天下泰平とはいかぬ世に暗澹たる茂兵衛にさらなる追い打ちがかかります。小田原の大久保忠世が重病だというのです。
家康の命を受け、鉄砲百人組を引き連れて東海道を一路東へ向かいますが、途上、何者かの襲撃を受けます。戦国足軽出世物語、暗雲立ち込める第14弾。
角川文庫
汀こるものさんの『最強の毒 本草学者の事件帖』
江戸は浅草の札差店で、10人もの奉公人が同時に亡くなりました。同心見習いの紺之介は、夕食の味噌汁に一匹の虫が入り込んでいるのを発見。毒と思しき昆虫の正体を突き止めるため、「天才」と名高い本草学者(科学者)を頼ることにしました。日暮里に佇む屋敷を尋ねると、現れたのは美麗な変人学者・香西朝槿。口を開けば悪態が出てくる偏屈ものと協力して、事件に挑むことになります。本草学の知識で謎を解く、全く新しい捕り物帖。
千野隆司さんの『成り上がり弐吉札差帖 公儀御用達』
旗本の黒崎が札差・笠倉屋にやってきました。すでに借り入れできない配下の侍に、さらに十両貸せと言います。突然の無茶な金談に違和感を覚えた弐吉は、2人の繋がりを調べ始めます。黒崎は、弐吉の父の死にまつわる疑惑の相手でもありました。ただならぬ思いで黒崎に迫る弐吉に、公儀御用達の品の怪しい動きが見え隠れするのですが、確かな証が見つからず……。行き詰まった弐吉は、命がけである勝負に出ます。シリーズ第3巻。
宮部みゆきさんの『よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続』
江戸は神田の袋物屋・三島屋は風変わりな百物語で知られています。語り手一人に聞き手も一人。話はけっして外には漏らします。聞き手を務める小旦那の富次郎は、従妹であるおちかのお産に備え、百物語をしばらく休むことに決めました。休止前最後に語り手となったのは、不可思議な様子の夫婦。語られたのは、かつて村を食い尽くした〈ひとでなし〉という化け物の話でした。
米澤穂信さんの『黒牢城』
本能寺の変より四年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起こる難事件に翻弄されていました。このままでは城が落ちます。兵や民草の心に巣食う疑念を晴らすため、村重は土牢に捕らえた知将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めますが……。
事件の裏には何が潜むのでしょうか。乱世を生きる果てに救いはあるでしょうか。城という巨大な密室で起きた四つの事件に対峙する、村重と官兵衛、二人の探偵の壮絶な推理戦が歴史を動かします。
松岡圭祐さんの『シャーロック・ホームズ対伊藤博文 改訂完全版』
ライヘンバッハの滝でモリアーティ教授と戦ったシャーロック・ホームズは、兄マイクロフトの助けを借りて日本へ向かいました。イギリスに来ていた際に面識をもった伊藤博文のもとで世話になっていると、日本を訪問していたロシアのニコライ皇太子が、警備中の巡査に斬りつけられ負傷をしました。日露の関係を揺るがす一大事件に、ホームズは伊藤博文とともに巻き込まれていきます。全米ベストセラー、正典の矛盾を解消した名編、改訂完全版で登場。
近衛龍春さんの『南部は沈まず(上)(下)』
戦国北端の武将・南部氏には、内紛の種がいくつも芽を出そうとしていました。当主となった南部信直は、領地の統治を試みますが、同族と熾烈な争いが勃発。さらに安東氏、拡大を続ける伊達氏、そして南部から独立した津軽氏までもが迫ろうとしていました。奮戦する信直をよそに、天下統一の波が押し寄せ……。大津波、大震災、そして戦国の波を乗り越え、手腕を発揮した南部氏を描く長篇歴史小説。
伊吹亜門さんの『幻月と探偵』
1938年、革新官僚・岸信介の秘書が急死しました。秘書は元陸軍中将・小柳津義稙の孫娘の婚約者で、小柳津邸での晩餐会で毒を盛られた疑いがありました。岸に真相究明を依頼された私立探偵・月寒三四郎は調査に乗り出しますが、初対面だった秘書と参加者たちの間に因縁は見つかりません。さらに、義稙宛に古い銃弾と『三つの太陽を覚へてゐるか』と書かれた脅迫状が届いていたことが分かり……。次第に月寒は、満洲の闇に足を踏み入れます。昭和史と本格推理が融合した歴史ミステリ。
時代小説文庫
稲田幸久さんの『駆ける 少年騎馬遊撃隊』
盗賊に村を襲われ、家族も友人も殺され、天涯孤独となった少年小六。だがその馬術を見出され、彼は吉川元春の軍の中で騎馬隊員として頭角を現していきます。
一方、毛利に滅ぼされた尼子再興を誓う猛将・山中幸盛(鹿之助)。彼もまた、戦火で友人と愛する人を失い、毛利への復讐に燃えていました。
共に戦という理不尽から立ち上がった二人。その譲れぬ思いが、戦場でぶつかります。
第十三回角川春樹小説賞受賞作の感動歴史エンターテインメント。
佐々木功さんの『真田の兵ども』
日本を真っ二つに分ける関ヶ原の戦いの直前、味方の二十倍近い大軍勢を引き連れて攻め込んでくる徳川秀忠を前にして、一族、家臣、城、領地、民、忍び、すべてを注ぎ込んだ真田の戦略が動き出します。密命を帯びた真田忍びの源吾は、真田信幸付きの小姓に姿を変え、敵味方の間を駆けました。
しかし、この若き忍び武者には意外な役割と正体がありました。
民とともに、一族の存亡と男の夢を賭けた真田家の上田城攻防戦を描く長篇小説。
講談社文庫
山本巧次さんの『戦国快盗 嵐丸 今川家を狙え』
一匹狼の盗賊・嵐丸は桶狭間での敗戦後も賑わいが続く駿府にいました。
武家屋敷に侵入し、隠し金山の地図を目にした嵐丸は濡れ手に泡のぼろ儲けをもくろみますが、腐れ縁で美貌の女盗賊・麻耶が計画に絡んできます。さらに怪しい牢人・沢木も登場し、各自の思惑が交錯。騙し騙され、三つ巴のお宝争奪戦が始まりました……。
中公文庫
岩室忍さんの『軒猿の娘』
「鶴、信長を殺せ」若き女忍び逆鶴に託されたのは、軍神上杉謙信の密命。密命を果たさねば死、それが加藤段蔵率いる忍び衆「軒猿」の掟でした。謙信の密書を携え京へ向かった逆鶴は、足利義昭、近衛前久らとの邂逅を経て、ついに織田信長への接触を果たします……。本能寺の変前夜、明智光秀の蜂起を歴史の裏舞台から描きます。
集英社文庫
今村翔吾さんの『塞王の楯 上・下』
時は戦国。炎に包まれた一乗谷で、幼き匡介は家族を喪い、運命の師と出逢います。石垣職人”穴太衆”の頂点に君臨する塞王・飛田源斎。彼のように鉄壁の石垣を造れたら、いつか世の戦は途絶える、匡介はそう信じて、石工として腕を磨きました。一方、鉄砲職人”国友衆”の若き鬼才・国友彦九郎は、誰もが恐れる脅威の鉄砲で戦なき世を目指します。相反する二つの信念。対決の時が迫ります。
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