時代小説が書きたい!

時代小説が書きたい!

(じだいしょうせつがかきたい)

鈴木輝一郎

(すずききいちろう)
[時代小説入門]

『何がなんでも作家になりたい!』(河出書房新社)に続く、著者の作家入門書。著者の得意分野の時代小説の書き方にテーマを絞っているのがうれしい。

今まで時代小説を読んできて、こういう作品だったら書けそうだと思うことと、逆立ちしても書けないと思うこととがある。時代小説の書き方がわかり、あわよくば自分も書けたらいいなと、手にした一冊。時代小説の作家著者が自身の経験をもとに、小説作成の舞台裏を公開し、平易に説明してくれていて、とても興味深い。

著者は「歴史小説」と「時代小説」について、「最近は両者の区別も厳格なものではなくなってきた」と断りながらも、歴史小説は「過去に実在した事件・人物を素材にして小説の形として書くもの」とし、時代小説は「過去に実在したかもしれない場所を素材にして、架空の話を書くもの」と区別している。また、「いつからを時代・歴史小説と呼ぶか」についても、最近では明治以前を指すと書かれていて、私自身の理解とズレがなくてホッとした。

時代小説家という仕事について、「投資と資料と勉強と年齢と」という切り口で、時代小説を書く上での注意事項を解説されていて、面白い。「ライバルは司馬遼太郎・藤沢周平・池波正太郎」の項は、うなずけるところが多く、時代小説のマーケットを看破している。

われわれがなかなか感覚として掴みにくい「暦法」と「不定時法」について、詳細に説明してくれていることに好感がもてた。自分自身を顧みると、時代小説作家としてデビューを目指すよりも、時代小説の読者側に身を置いた方が気楽でいいなと思った。

読みどころ●第一線で活躍中の時代小説作家による、時代小説の書き方解説書。時代背景年表や登場人物の履歴作成から、図書館利用法、資料の選び方、間違いやすい「暦法」「不定時法」の解説まで、時代小説執筆の舞台裏がわかります。これから歴史小説・時代小説を書こうという人ばかりでなく、日ごろ歴史小説・時代小説を読んでいる人も、作家の楽屋を覗くことができ、楽しめる一冊。

目次■まえがき|第一章 歴史・時代小説 腕を組んでから本になるまで(1 何はともあれまず打ちあわせ/2 書き出す前の準備/3 歴史小説はマギー司郎だ/4 時代小説は娯楽小説の王だ/5 時代小説とパソコン/6 パソコンだけでは追いつかない)|第二章 時代小説家 投資と資料と勉強と年齢と(1 ライバルは司馬遼太郎・藤沢周平・池波正太郎/2 定年過ぎても遅くない/3 古文・漢文はこわくない/4 こんな史料を使ってます/5 図書館をつかいまくれ)|第三章 ここでコケない勘どころ 時代考証の初歩の初歩(1 目立つところでしくじらない/2 江戸時代 二百六十年あるのを忘れない/3 戦国時代 激しい技術革新があったのを忘れない/4 名前とセリフ 本人たちもわかるめぇ/5 衣服 普段着には和服をどうぞ/6 暦法 いざとなったら花札/7 不定時法 太陽にほえろ!/8 戦国と仏教と武士道と)|第四章 書いた原稿をどうするか いざ、勝負!

装幀:大谷知帆
(河出書房新社・1,400円・04/05/30第1刷・209P)
購入日:04/09/30
読破日:04/10/12

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