いのちの螢 高瀬川女船歌

いのちの螢 高瀬川女船歌
(いのちのほたる・たかせがわおんなふなうた)
澤田ふじ子
(さわだふじこ)
[市井]
★★★★

「高瀬川女船歌」シリーズ第2弾。第1集の舞台が旅籠であったのに対して、今回は、前回の脇役だった奈倉宗因の構える居酒屋が舞台。宗因の料理の腕が冴えていて、彼のつくる酒の肴がどれもおいしそうだ。シリーズの新しい魅力になっている。もちろん、浮世のもめごとも見事にさばいている。

連作形式で、物語は進むが、余韻を残した結末がいい。新キャラクターのお蕗は、今後も活躍させてほしい。

物語●濡れ衣の汚名をそそぎ、晴れて父親として娘と再会した奈倉宗十郎(宗因)。宗因は、木屋町筋から先斗町通りにぬける小路の角に、「尾張屋」という居酒屋を開いた…。「夜の黒髪」尾張屋に、桃割れの髪をふり乱した若い女が、その髪の端を口に銜えてにやっと笑い、いきなり入ってきた…。「短夜の蓮」お時が世話役として乗った蓮見船の客の禁裏の女官たちが、高瀬川を泳ぐ青大将を見て騒ぎ出した…。「秋陰の客」尾張屋の近くの路地に、草鞋をはいた旅姿の若い武士が倒れていた…。「背中の影」宗因の知り合いの長屋の空き室に怪しい男が入りこんで大騒ぎになった…。「討たれの桜」錦小路で宗因は、やつれの目立つ知り合いの土佐藩士の妻女をみかけた…。「いのちの螢」宗因は、飲んだくれで怠け者の義理の父親をもった、少年・芳松のことが気になっていた…。「流れの蕪村」宗因は、高瀬川を流れてくる与謝蕪村の俳句が書かれた紙切れの謎を調べることになる…。「夜寒の船」角倉会所の女船頭お時が、何者かに後をつけまわされた…。

目次■夜の黒髪|短夜の蓮|秋陰の客|背中の影|討たれの桜|いのちの螢|流れの蕪村|夜寒の船|あとがき

装画:蓬田やすひろ
装幀:蓬田やすひろ
時代:安永八年(1779)。
場所:京・木屋町、錦小路、上京・松屋町、二条丁字屋町、北車屋町、石屋町ほか。
(新潮社・1,400円・00/02/20第1刷・249P)
購入日:00/02/25
読破日:00/04/05

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