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名代一本うどん よろづお助け

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名代一本うどん よろづお助け
名代一本うどん よろづお助け

(なだいいっぽんうどん よろづおたすけ)

倉阪鬼一郎

(くらさかきいちろう)
[捕物]
★★★★

頼りない北町奉行所定町廻り同心能勢十兵衛を支える凄腕浪人にして、手打ち一本うどんの達人、友部勝之介の活躍を描く『八丁堀浪人江戸百景 一本うどん』の続編。

勝之介は、十兵衛の屋敷の前に、一風変わった看板を出した。
手打ちうどん
名代一本うどん
よろづお助け

八丁堀浪人
友部勝之介

 美濃の小藩が御家騒動の末にお取り潰しになって、浪々の身となった勝之介は、十兵衛の屋敷の長屋に暮らしていた。「名代一本うどん」と「よろづお助け」の看板を出していたが、それで生計を立てるにはほど遠く、美濃無双流の免許皆伝の腕前を生かして、剣術道場で師範代として、町人相手にご機嫌取りの稽古で稼いでいた。その剣術道場で、諸国自在流を名乗る浪人速水主水と知り合い、肝胆相照らす仲となった。
 
 ある日、十兵衛の屋敷に、矢文で脅迫文が届いた。三年前、十兵衛が上役の与力に、同僚の同心・上橋辰之助が職を笠に着た悪行をしていると注進したのがきっかけで、上橋は職を解かれて、江戸所払いに処されていた。元同心の悪党は、「鉄砲水の辰」の異名で上州を荒らし回った末に、江戸に戻ったらしい。
 
 剣術がからっきしで、小心者の十兵衛は、辰の復讐を恐れて、よろづお助けの勝之介に助けを求める……。
 
 主人公は、一本うどんの達人で、うどんづくりを通して、それを食する人たちを幸せな気持ちにさせる。また、勝之介が速水と寄るなじみの小料理屋で出される鰯の生姜煮や牛蒡田楽、平目の青柚じめなど、供される料理がどれも美味しそう。捕物+人情+料理で、江戸がお腹いっぱい楽しめる、お得なシリーズだ。

目次■第一章 一本うどん由来/第二章 鰯の生姜煮/第三章 信田鮨/第四章 過去からの矢/第五章 二人の用心棒/第六章 鉄砲水の辰/第七章 平目青柚じめ/第八章 面会/第九章 鯛茶とづけ茶/第十章 決戦神田川/第十一章 鱸の洗い/第十二章 よろづお助け/終章 納涼両国橋

カバーイラスト:室谷雅子
カバーデザイン:門田耕侍(SPRAY)
時代:明記されず(八州廻りがあった時代)
場所:八丁堀、茅場町、小松町、船河原橋、本郷竹町、ほか
(宝島社・宝島社文庫・640円+税・2014/11/21第1刷・268P)
入手日:2014/11/07
読破日:2014/11/10
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