長い道程

長い道程

(ながいみちのり)

堀和久

(ほりかずひさ)
[武家]
★★★★☆

第二回中山義秀文学賞受賞作ということで、どうしても読んでみたくなった。しかし、出版元で品切れ増刷未定ということで、ネット書店や三省堂書店本店などにあたったがなく、あきらめかけていたが、渋谷のブックファーストで運良く見つかった。

物語は、弱小旗本から勘定奉行にまで異例の出世を果たした田口喜行の半生を描いた長編小説。 タイトルの「長い道程」という言葉は、十四歳の忠邦が語った、幕閣入りを目指し、裕福な唐津からしかるべき地へ転封をし、奏者番を登竜門に、寺社奉行、大坂城代、京都所司代、西丸老中、本丸老中へ昇進し、老中首座を占めるという大願成就を指して、喜行が言った言葉である。それは、また、小普請組二百石取りの旗本の嫡男喜行の半生を予感させる言葉でもある。

中野播磨守清茂が登場し、その描き方が興味深かった。

今回初めて、堀さんの作品を読んだが、童門冬二さんの作品のように読みやすいと感じた。

物語●小普請組二百石取りの旗本の嫡男で、十五歳の田口喜行(たぐちよしゆき)は、師の中西鳩園の推薦で、肥前唐津藩六万石水野家の世子・於菟五郎忠邦の学友になった。喜行の祖父・田口喜古は、飛騨郡代を務めた一族の誇りで、その一人娘で喜行の母の峯は、喜古の勉学ぶりや業績を繰り返し語り、幼い息子を激励してきた。「鬼女のごとし」と評判になった熾烈な教育ぶりもあり、喜行は昌平黌始まって以来最年少の合格者と称えられる秀才ぶりを示し、和算も得意とした。喜古は、たちまち忠邦のよき友となり、片腕と頼りにされるようになったが…。

目次■第一章 学問お相手/第二章 暗涙/第三章 尾花沢春秋/第四章 栄転と百鬼夜行/第五章 長崎奉行/第六章 上書と砲術演習/第七章 青雲迷路/あとがき/参考文献/解説 楠木誠一郎

カバーデザイン:菊地信義
解説:楠木誠一郎
時代:文化四年(1807)八月
場所:小石川、愛宕下西久保の大名小路、尾花沢、馬喰町、佐賀町ほか
(講談社文庫・619円・99/06/15第1刷・313P)
購入日:03/10/05
読破日:03/10/14

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