炎の塔 小説大内義弘

炎の塔 小説大内義弘炎の塔 小説大内義弘
(ほのおのとう しょうせつおおうちよしひろ)
古川薫
(ふるかわかおる)
[室町]
★★★☆☆

今夏の高校野球に、西京という高校が出場したが、最初、てっきり京都代表だと思っていた。京の西ではなく、西の京、すなわち小京都、山口の代表だった。本書で読んでどうして、西の京都っていわれるのかがよくわかった。

京にかつて暮らし、京に憧れを抱き続けた大内氏が、心血と財力を注いで町作りをしたのだった。大内氏というと、今川氏と並んで貴族かぶれした、古いタイプの大名のイメージがあるが、結構血生臭い歴史をもっている。また、祖先が源氏や平家ではなく、百済の王族というのが意外だった。

本書の描かれている時代が、北方謙三さんの『武王の門』のちょうど後ぐらいから始まるので、なかなか興味深かった。『武王の門』では、三国志の司馬仲達ぽかった今川了俊の別の面が見れた点も収穫だ。

著者の古川さんは、白石一郎さんと並んで、西国に生活し、西国の人物を描き続けた作家だが、今まであまり作品を読む機会がなかった。

物語●南北朝後期。周防・長門の守護大名、大内弘世の嫡男・孫太郎(のちの義弘)は、西下してきた九州探題今川了俊への助勢のために、父とともに太宰府攻略に加わる。やがてこのことから、父と子の対立が始まる…。

目次■第一章 父子相剋(瑠璃光寺にて/筑紫野/小京都山口/歌びとの戦野/義弘朝臣/骨肉の争い) 第二章 曠野の夢(女人来迎/九州探題/周防の饗宴/二条大宮合戦) 第三章 野望の砦(新領土/追風/七州の太守/王族の土/応永の乱/堺燃ゆ) 解説 縄田一男

装画:大島 哲以
AD:上野 和子
時代:応安四年(1371)年
舞台:周防・山口、京、堺
(文春文庫・350円・91/6/10第1刷・211P)
購入日:97/7/30
読破日:97/8/18

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