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闇を斬る 四神跳梁

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闇を斬る 四神跳梁闇を斬る 四神跳梁

(やみをきる・ししんちょうりょう)

荒崎一海

(あらさきかずみ)
[剣豪]
★★★★☆

直心影流の剣豪・鷹森真九郎が活躍する『直心影流龍尾の舞い』『刺客変幻』に続く「闇を斬る」シリーズ第3弾。江戸の平穏を揺るがす謎の徒党、闇の跋扈がますますエスカレートしていく。荒崎一海さんの『闇を斬る 四神跳梁』を読了。主人公の鷹森真九郎は、今治藩を脱藩して、妻の雪江とともに江戸に暮らしている。直心影流十二代目の団野源之進道場で師範代を務め、師の代稽古として柳河藩江戸屋敷に通うことで、生計を立てていた。

霊岸島一の大店、和泉屋の主、宗右衛門の命を助けたことから、謎の徒党、「闇」から命を狙われ、次々と刺客を送られることになる。今治藩で目付をしていた真九郎は、持ち前の剣の腕と推理力を生かして、北町奉行所定町廻り同心桜井琢馬や岡っ引きの藤二郎らと協力して、江戸の町を震撼させる「闇」に敢然と立ち向かう。

このシリーズの魅力は、何といっても真九郎の剣さばきである。天性の疾さを備えた剣に加えて、故郷の師竹田作之丞ゆずりの秘剣・弧乱の剣と、本作品では「霧月(むげつ)」という新技を見せてくれる。

真九郎に向かっていく刺客は、金目当てで用心棒崩れや盗賊など悪行にどっぷり染まった者ばかりでなく、浮世の義理や剣客の意地からやむなく剣をとる者も少なくない。真九郎が一作当たりに斬る者の数はハンパではないが、自身も立ち合いの都度、小さな傷を負うと同時に、心に大きな鬱屈を抱えていく。強いだけのスーパーヒーローとは違い魅力を感じる、今後のシリーズの展開がますます気になるところだ。

ブログ◆
2006-02-18 剣客の業を感じさせる剣豪小説
2006-02-17 馬庭念流の刺客は珍しい?
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物語●十二月朔日、鷹森真九郎は、北町奉行所同心桜井琢馬から深川南六間堀町へ呼び出される。高利貸しの座頭が同衾の女など五人が惨殺され、隠していた大金が盗まれた。犯行現場の襖には、墨痕あざやかに“青竜”と大書された半紙が貼ってあった。真九郎と琢馬らが追っていた「闇」絡みの事件と思われた。同日同時刻に、麹町八丁目に住む検校宅が押し込み強盗に襲われ白虎の張り紙があった。浜松町二丁目の別当宅には朱雀、本郷六丁目の検校宅には玄武。四箇所で二十三人が命を奪われた。闇は何のために江戸の町を震撼させるのか、謎は深まっていく……。

目次■第一章 挑戦/第二章 襲いくる者/第三章 裏の裏/第四章 闇の意図/第五章 死闘

カバーイラスト・カバーデザイン:蓬田やすひろ

時代:文化六年(1809)十二月朔日。
場所:霊岸島四日市町、南六間堀町、万年橋、塩町、浅草平右衛門町、下谷御徒町柳河藩上屋敷、南新堀町、永代橋、坂本村柳河藩下屋敷、寺島の渡、新大橋、神田鍛冶町、善立寺、新大橋下の中洲、深川佐賀町ほか

(徳間文庫・648円・06/02/15第1刷・407P)
購入日:06/02/10
読破日:06/02/18

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