スポンサーリンク

農民から旗本の家臣となった出世侍に、婿入りの話が…。

出世侍(四) 正直者が損をする千野隆司(ちのたかし)さんの文庫書き下ろし時代小説、『出世侍(四) 正直者が損をする』が幻冬舎時代小説文庫より刊行されました。

水呑百姓(農民)から旗本の家臣となった、川端藤吉の破格の出世を描く、シリーズ第4作。
藤吉はほぼ一年前に、上州新田郡の利根川べりにある長船村から江戸へ出てきました。川の氾濫をせき止めるに当たって功をなし、村を知行地とする旗本永穂忠左衛門の目に留まり、中間として江戸で奉公を始めます。
その後、馬上で射る弓の腕を認められて、先手弓頭小出長門守直孝に中小姓として仕えることになります。

旗本の小出家で、上役の悪辣な妨害に負けず職務と武芸に励む川端藤吉。真っ直ぐなその姿に当初の信頼も厚く、頭角を現していく。
ある日、新五番衆の旗本、香坂平内から婿入りの誘いが掛かる。香坂家は家禄二百五十俵ながら、将軍御目見えの地位にあり、藤吉には更なる出世となるのだが、平内の娘・楓は、重い病で明日をも知れぬ命だった……。

このシリーズの読みどころは、藤吉が次々と降り掛かる災厄や障害などのトラブルを、知恵と馬の扱いの巧みさと弓の腕を使って、乗り越えていくところ。そしてトラブルを解決するごとに、周囲の人たちに認められて、出世を重ねて行きます。

武家小説でありながらも、トラブル解決の過程で、捕物小説のような犯人捜しや謎解きも楽しめます。

一方で、百姓の出自である藤吉を蔑み意地悪をしたり、破格の出世を妬み悪辣な妨害を仕掛けたりする上役や同僚も続々と登場し、藤吉に試練を与えていきます。その対立構造が物語の興趣を高めています。

小出家や永穂家とも縁戚に当たる大身旗本小笠原将監の娘千寿は、かどわかしに遭った危機を藤吉の弓によって救われ、それを機に身分違いの藤吉に関心を持ち始めています。
藤吉にとって、高嶺の花ともいうべき存在ながら、いずれ千寿を妻にしたいという願いを秘めています。

そんな二人が気になる中で、第4巻では、藤吉を婿にと望む、旗本の娘・楓が登場します。出世侍の更なる活躍から目が離せません。

■Amazon.co.jp
『出世侍(一)』
『出世侍(四) 正直者が損をする』