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織江緋之介見参 不忘の太刀

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織江緋之介見参 不忘の太刀織江緋之介見参 不忘の太刀

(おりえひのすけけんざん・わすれじのたち)

上田秀人

(うえだひでと)
[剣豪]
★★★★☆

御免色里の吉原が舞台に、織江緋之介が活躍するシリーズ第2弾。今まで入手しそびれていたものをようやくゲットした。上田さんは『竜門の衛』でデビュー以来、文庫書下ろしで10タイトルほど、長編をリリースされている。いずれもハラハラドキドキで、趣向を凝らした、エンターテインメント度の高い面白い作品ばかりで、外れがない作家の一人だ。『不忘の太刀』は、『悲恋の太刀』に続く、「織江緋之介見参」シリーズの第2弾。主人公は、将軍家剣術指南役小野次郎右衛門忠常の三男・小野友悟こと織江緋之介。武者を鎧ごと両断するために作られた普通の太刀よりも肉厚で刃渡りも長く重い胴太貫を愛刀としている。

しかし、吉原での死闘で刀身を曲げてしまい、傷ついた部分を取り除き摺り上げて定寸より少し短い二尺五寸(約75センチ)ほどの太刀に変えた。刀を変えたことで、一刀流独自の後の先の技が使えなくなり、先の先の剣に変わっていく。緊迫感あるチャンバラシーンが随所に見られて剣豪小説ファンにはうれしいところ。

堀田正信の奇行と、三代将軍家光が亡くなったときの殉死、家光の弟忠長の自害の謎を絡めて描いた時代小説。もちろん、織江緋之介の剣の冴えも堪能できる見せ場はたくさんある。敵役として、老中首座松平伊豆守信綱が配されていて、悪巧みと執念深さでいい味を出している。

ブログ◆
2006-05-24 知恵伊豆vs.水戸光圀の対決が見どころ

物語●織江緋之介は、吉原の用心棒を務めながら、大切な人を守りきれなかった後悔に苛まれ、なにもかも捨てて放浪し、高崎の刀鍛冶の旭川(きょくせん)の元に身を寄せていた。時は万治三年(1660)九月、下総国佐倉城主堀田上野介正信は願人坊主姿で、駒込の水戸藩中屋敷を訪れた。執政を非難し、所領を返上する上申書を書き、無断で出家し、徳川光圀に別れを告げに来たという。幕閣の不穏な動きを察知した光圀は、織江緋之介を探せと命じるが……。

目次■第一章 江戸の熾火/第二章 厳冬の戦い/第三章 新吉原攻防/第四章 妄執の権/第五章 骨肉の残滓/終章/上田秀人 著作リスト

カバーデザイン:ムシカゴグラフィックス スズキ・クモ
時代:万治三年(1660)九月
場所:水戸藩駒込中屋敷、新吉原、高崎、江戸城御用部屋、回向院、堀田家上屋敷、大和田、松平伊豆守上屋敷、日本堤、高崎藩上屋敷、浅草寺前、八丁堀、松島町ほか

(徳間文庫・629円・2005/06/15第1刷・378P)
購入日:2006/05/16
読破日:2006/05/24

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