鬼骨の人

[amazon_image id=”4041713102″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]鬼骨の人 (角川文庫)[/amazon_image]
鬼骨の人

(きこつのひと)

津本陽

(つもとよう)
[短編]
★★★☆☆

『武道通信』のおかげで、最近、津本作品に再注目するようになった。竹中半兵衛を描く表題作ほか8編を収録。津本さんらしい、英雄、武将、剣客など主人公たちの生きざまと死に様を描いた男臭い作品集。

歴史上の著名人よりも、その間に埋もれてしまった人物たちに興味を惹かれる。とくに魅力的なのが、“五寸釘寅吉”の異名を持つ、明治のばくち打ちである。長篇で読んでみたいものだ。

物語●「鬼骨の人」主君斎藤龍興の近習たちに屈辱を受けた竹中半兵衛は、日ごろ学んでいる兵法を生かし、殿様の反省をうながし、世間に自分の名前をひろめるために、稲葉山城を乗っ取ることにした…。「老の坂を越えて」光秀が本能寺の信長を襲うために、丹波亀山城の広場に物頭を集めたのは、六月一日暮れ六つだった…。「百舌と雀鷹」京都で名をあげた塚原新右衛門(卜伝)は、十年間を京都で過ごし、畿内の兵法者と試合を重ね、不敗の記録を続けて帰郷し、鹿島神宮で千日参籠を行なった…。「影像なし」家光の命で、柳生兵助(連也)は、将軍家指南役の宗冬と試合をすることになった…。「雨の晴れ間」初代紀州藩主徳川頼宣は、大身の家臣草薙加兵衛の嫡男・伝三郎の伊達者ぶりを酷評したことから事件が…。「刃傷」徳川頼宣の鹿狩りに、御先手物頭・山中作右衛門友俊は、家来十数人とともに加わった。作右衛門は五十三歳で、近頃は体力が衰えているが、戦国の世に合戦の経験を重ねた、武芸名誉の士として家中に聞こえていた…。「春の稲妻」紀州藩主権中納言吉宗は、耳無し長兵衛と名付けられた大猪を狩りにでかけた…・。「饅頭屋長次郎の切腹」薩藩汽船胡蝶丸が大坂安治川沖を出帆し、鹿児島に向かった。胡蝶丸には西郷吉之助、小松帯刀ら薩藩幹部とともに、坂本龍馬、新宮馬之助、高松太郎ら、神戸海軍操練所での勝安房門下生たちも同行していた…。「五寸釘寅吉」西川寅吉は、五寸釘寅吉と異名のついた脱獄犯で、丁半博打のいかさま師として全国の賭場を荒らしまわった…。

目次■鬼骨の人|老の坂を越えて|百舌と雀鷹(えつさい)|影像なし|雨の晴れ間|刃傷|春の稲妻|饅頭屋長次郎の切腹|五寸釘寅吉|解説 磯貝勝太郎

カバー:村上豊
解説:磯貝勝太郎
時代:「鬼骨の人」永禄七年。「老の坂を越えて」天正十年。「百舌と雀鷹」永正十五年。「影像なし」慶安四年。「雨の晴れ間」寛永五年。「刃傷」正保四年。「春の稲妻」宝永五年。「饅頭屋長次郎の切腹」慶応元年。「五寸釘寅吉」明治十九年。
場所:「鬼骨の人」稲葉山城、「老の坂を越えて」丹波亀山城。「百舌と雀鷹」鹿島。「影像なし」御油、名古屋、江戸城。「雨の晴れ間」和歌山。「刃傷」和歌山生石山麓黒沢の野。「春の稲妻」和歌山貴志野上。「饅頭屋長次郎の切腹」鹿児島。「五寸釘寅吉」釧路、樺戸集治監ほか。
(角川文庫・460円・95/06/25第1刷・97/04/01第4刷・219P)
購入日:00/04/29
読破日:00/05/10

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