鴻池小町事件帳 浪華闇からくり

鴻池小町事件帳 浪華闇からくり

(こうのいけこまちじけんちょう・なにわやみからくり)

築山桂

(つきやまけい)
[捕物]
★★★☆☆

『大坂を舞台にした時代小説『浪華の翔風(かぜ)』が面白かった、築山さんの初の文庫作品。今までの作品が、鳥影社という出版社からの刊行のせいか、なかなか著作を目にする機会がなかっただけに、ハルキ文庫(角川春樹事務所)からの発行はうれしい。しかも文庫書き下ろしというから、今後のシリーズ化も期待できそう。

鴻池家ものというと、南原幹雄さんの『鴻池一族の野望』(徳間文庫)を思い出す。悲運の戦国武将山中鹿之助の二男幸範を祖とする、鴻池家。主人公の澪は十八歳ながら、鴻池本家の総帥、善右衛門の娘で、わずか十一歳で嫁ぎながら、大塩平八郎の乱の影響で、3日で夫を失い、今は、鴻池の後家小町と呼ばれている。

その澪が、芯からのお嬢さま育ちの怖いもの知らずを最大の武器に、大塩平八郎の乱の傷跡を引きずるような鴻池家を襲う事件に立ち向かうミステリータッチの時代小説。

大坂の町を舞台にした時代小説が少ないだけに新鮮。

物語●大坂市中でも随一の長者と名高い、両替商鴻池善右衛門の屋敷前で、一見してまっとうな侍でないと判る身なりの菊池兵吾ら六人の若者が、手代の一人に難癖をつけていた。そこに、十一歳で嫁ぎ三日で後家となり、叔父の希楽のもとで暮らす善右衛門の娘・澪が兄の病気見舞いにやってきて、事件に出くわす…。

目次■第一章 豪商の娘/第二章 黒猫の男/第三章 曾根崎新地/第四章 異国商い/第五章 歳後の薬/終章/解説 細谷正充

装画:卯月みゆき
装幀:芦澤泰偉
解説:細谷正充
時代:弘化元年(1844)三月
場所:大坂今橋、和泉町、板橋町、曾根崎新地、南久宝寺町、伏見町ほか
(ハルキ文庫・600円・03/10/18第1刷・248P)
購入日:03/10/18
読破日:03/10/30

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