緋色からくり 女錠前師 謎とき帖(一)

緋色からくり 女錠前師 謎とき帖(一)
緋色からくり 女錠前師 謎とき帖(一)
(ひいろからくり・おんなじょうまえしなぞときちょう1)
田牧大和
(たまきやまと)
[捕物]
★★★★☆☆

美貌の天才錠前師・お緋名が、姉と慕った髪結いのお志麻の死の謎を追う捕物小説。

年の頃は二十四、五、目許涼やかで色白の、きりりとした美人。艶やかな黒髪で櫛巻にした髪を彩るのは、鴇色の小さな玉簪。花色の青も鮮やかな縦縞の小袖をいなせに腰ではしょり、すらりとした脚には藍の股引、廻り髪結いが持つ鬢盥のような道具箱を手にする。ヒロインお緋名の描写は、村田涼平さんの装画のとおり。お緋名と一緒に描かれている猫の大福がなんとも可愛い。猫が活躍する傑作時代小説として記憶しておきたいところ。

この作品の面白さは、魅力的なヒロインとその愛猫だけでない。死の謎を追うお緋名が巨大な陰謀に巻き込まれていくハードボイルドタッチのところ。ワクワクドキドキしながらページを繰っていった。

からくり錠前という、鍵の仕組みにからくりを仕込んだものがあることを知った。江戸の錠前師たちは西洋の鍵のように鍵の形を複雑にするよりも、鍵穴をいかに隠すか、鍵を開けるまでにいかにさまざまな手順を踏ませるかに、心血を注いだという。『緋色からくり』ではからくり錠の妙味も堪能できる。

◆登場人物
お緋名:女錠前師
榎康三郎:用心棒志願の侍
甚八:髪結い床『甚床』の主
九兵衛:日本橋伊勢町の仏具屋、三角屋の番頭
徳太郎:三角屋の跡取り
与左衛門:神田久右衛門町の小間物問屋、黒鉄屋の主
与次郎:黒鉄屋の若旦那
お志麻:髪結い
孝助:お志麻の息子
進藤:北町奉行所年番方与力
祥太:辰巳芸者
栄達:神田佐久間町に診療所を構える医師

物語●お志麻の死から四年。小梅村で愛猫の大福と暮らすお緋名の家に空き巣が入る。ちょうど居合わせた侍・榎康三郎は「用心棒になりたい」というが、賊を取り逃がしてしまう…。賊が血眼で探すものは? 康三郎の正体は何者? お志麻殺しの真相は?

目次■嚆矢 孤児/第一章 女錠前師/第二章 用心棒/第三章 髪結い/第四章 辰巳芸者/第五章 番頭/第六章 黒幕/第七章 始末/結び 門出/解説 末國善己

装画:村田涼平
デザイン:新潮社装幀室
解説:末國善己
時代:明記されず
舞台:小梅村、日本橋伊勢町、浅草寺、元大工町、上之橋(仙台堀)、北町奉行所。
(新潮社・新潮文庫・476円・2011/10/01第1刷・317P)
購入日:2011/10/01
読破日:2011/10/06

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