浄瑠璃坂の仇討ち

浄瑠璃坂の仇討ち浄瑠璃坂の仇討ち
(じゅうるりざかのあだうち)
高橋義夫
(たかはしよしお)
[敵討ち]
★★★★☆☆

忠臣蔵の赤穂浪士たちが討入りの際に参考にしたのが、その30年前に起こった「浄瑠璃坂の仇討ち」である。市谷浄瑠璃坂の奥平隼人の屋敷に、奥平源八に率いられた四十数名が討入った事件だ。この事件はスケールもあり新鮮な題材なのだが、敵も味方も殿様も奥平姓ばかりで描きにくいのか、小説になることは少なかった。

藩主の死から始まる対立、両陣営の血で血を洗う抗争、そしてクライマックスへ。作者は江戸前期を代表する集団討入り劇を描くばかりでなく、源八方に属する剣士生駒尚平を主人公に据え、彼の青春をも描いている。奥山流の剣技の研鑚、許婚との別れ、敵味方に分かれてしまった友への愛と憎しみ…。敵討ち小説と青春小説の2冊分の面白さが満喫できる読み味の好い時代小説だ。

物語●宇都宮城主の六十日忌に家臣同士、両者抜刀の刃傷が起きた。重臣奥平内蔵丞は自害、息子の源八は改易され、一方の当事者で重臣の奥平隼人は減封のみであった。この不公平な裁定をめぐり、藩を二分され、一族郎党巻き込んだ一大事件へと発展していく…。

目次■一章 盟約(ちかい)/二章 凍る湖(うみ)/三章 半夏生(はんげしょう)/四章 堕落/五章 湯女/六章 浄瑠璃坂/七章 洪水/八章 反撃/九章 本懐

装画:倉橋三郎
装丁:倉橋三郎
時代:寛文八年(1668)
場所:宇都宮、芳賀郡深沢村、信州諏訪、品川、鎌倉河岸、鷹匠町、浅草門跡、市谷田町
(文藝春秋・2,381円・98/07/25第1刷・493P)
購入日:98/08/20
読破日:98/08/22

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