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京伝怪異帖

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京伝怪異帖
京伝怪異帖
(きょうでんかいいちょう)
高橋克彦
(たかはしかつひこ)
[伝奇]
★★★★☆☆

天狗、生霊、神隠し…、若き戯作者山東京伝と異能の風来人平賀源内が活躍する連作形式のホラー時代小説。高橋さんは『写楽殺人事件』などの浮世絵師殺人事件三部作以来、絵師や戯作者を扱わせたら、やはりうまい。今回も若い頃の山東京伝(伝蔵)が実に活き活きと描かれている。腕力はからっきしのイメージの伝蔵が銅製の糸印を武器に使うという設定も新鮮。

牢死したはずの平賀源内を伝蔵の師匠役に配したのも見事。高橋さんはいろいろな作品で怪異現象(ホラー)を扱ってきたが、時代小説の中でそれらを描くと、いよいよ作品の中にしっくり溶けこむように思えた。とくに「生霊変化」の話から最後までが面白い。高橋作品でおなじみの題材もいろいろ散りばめられていて、最初から最後まで眼が離せず、ファンにはたまらないところ。

物語●「天狗髑髏」若き日の山東京伝(伝蔵)は、絵師・北尾政演(まさのぶ)として知られていた。吉原遊びで退屈していたときに、風来山人こと、平賀源内が牢死したことを知り、友人で戯作者から絵師に転じた窪俊満(窪田安兵衛)とその死骸を見に行くことにした…。「地獄宿」伝蔵は、源内、陰間の蘭陽と一緒に、松平定信の領地・白河近辺で噂になっている地獄宿の秘密を探りにでかけることになった…。「生霊変化」伝蔵は、妹のよねの病状を気にかけてふさいでいた。よねは、吉原にいるはずの伝蔵が枕元に立ったという夢、幻を見たという…。「悪魂」伝蔵の女房となった、お菊が奇病に罹った…。「神隠し」寛政三年、『仕懸文庫』を含む三冊の洒落本を蔦屋から出した伝蔵は、風俗を乱しているという疑いをかけられた…。

目次■天狗髑髏|地獄宿|生霊変化|悪魂|神隠し

装幀・挿画:宇野亞喜良
時代:安永八年(1779)十二月十八日
場所:吉原、伝馬町、橋本町、京橋、両国、千住、白河ほか
(中央公論新社・1,900円・00/06/10第1刷・507P)
購入日:00/06/14
読破日:00/07/16

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