投げ銛千吉廻船帖

投げ銛千吉廻船帖投げ銛千吉廻船帖
(なげもりせんきちかいせんちょう)
白石一郎
(しらいしいちろう)
[海洋]
★★★☆☆☆ [再読]

3年ぐらい前に単行本で読んだが、ストーリーをすっかり忘れていた。ただ、船の中でのシーンが印象的だったのを覚えていて、「海を感じるベスト10」を考えたときに候補にあげたのだが、正確なタイトルが思い出せなかった。我ながら情けない。

文庫版では、単行本未収録の「江戸芝居」を収録している。解説も付いているから得した感じがする。文春文庫の新刊広告で、白石さんが林真理子さんと並んで目玉になっているので、前からの白石ファンとしては嬉しかった。

主人公千吉は、暗い過去をもつフリーランスの沖船頭。表仕(おもてし。舵取兼航海士)の石兵衛とコンビを組みいわくのある船をとりまわすなかで、いろいろな事件を解決する連作。千吉の隠し武器は、末尾に茶褐色の細い紐がついた、長さ八寸、幅一寸ほどの銛。

最後に一編加わったことによって、単行本のときに感じた深い余韻が、わかりやすさに変わった。ぼくとしては歓迎。

物語●「家船」岡山の廻船問屋の当て逃げされた船を廻送する…。あわせて本作品の登場人物を紹介する。「初日の出」御城米を積んで破損した徳島藩の御雇船を廻送する…。「三保の松原」同じ長屋に住む絵師の卵音次郎に富士山を見せるために、清水湊の新興の廻船問屋の四百五十石の塩船を廻送する…。「子連れ船」筑前福岡の千石船に、同じ長屋に住むおみやの息子を載せる新七を乗せて航海にでる…。「新七の夢」新七の体験した船上での生活を描く。「流人船」三宅島へ罪人を運ぶ流人船を廻送する…。「江戸芝居」長屋で世話になっている人たちを芝居に招待する…。

目次■家船(えぶね)/初日の出/三保の松原/子連れ船/新七の夢/流人船/江戸芝居/解説 清原康正

カバー:西のぼる
解説:清原康正
時代:特定されず。市村座が葺屋町にあった頃
舞台:深川北川町。洲崎。瀬戸内海。遠州灘。
(文春文庫・438円・97/8/10第1刷、286P)
購入日:97/8/10
読破日:97/9/5

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