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江戸からの恋飛脚―八州廻り桑山十兵衛

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江戸からの恋飛脚―八州廻り桑山十兵衛江戸からの恋飛脚―八州廻り桑山十兵衛

(えどからのこいびきゃく はっしゅうまわりくわやまじゅうべえ)

佐藤雅美

(さとうまさみ)
[捕物]
おすすめ度:★★★★☆☆

悪人を求めて関東各地を東奔西走する関東取締出役、通称八州廻りの桑山十兵衛を主人公とした、シリーズ第四弾である。

悪党者三人を追って三島まで足を延ばした十兵衛は、湯の町熱海にやってきた。そこで、大名の戸田信濃守の奥方を名乗る女と知り合いになる。また、同じ熱海で、疵養生に来ていた大多喜の惣五郎という上総大多喜の悪党者を見かけることから、大名の奥方を騙る事件に巻き込まれる……。

このシリーズの楽しさは、十兵衛が関八州(野州、上州、常州、武州、房州、上総、下総、相州)を廻村し、悪を懲らしめ人情味たっぷりに事件を解決させるところ。とはいえ、荒唐無稽な勧善懲悪ではなく、酸いも辛いも知っている大人の裁きぶりを示す。その土地の風土や人情が描かれていて、『木枯し紋次郎』シリーズにも通じるところがある。

独り者の十兵衛が、上総の旧家の出戻り娘・登勢に恋をするところ。成就するかどうかが今回の見どころだ。また、神々しいばかりに美しい十五、六のお姫様と腰元、お供の侍らの一行が、十兵衛の立ち寄り先に出没するのも気になるところだ。

目次■高原新田笹ノ沢の霊風/白旗村への誘い/五つで売られた飯盛女/江戸からの恋飛脚/十と一つの花嫁の涙/隠すより現る/勢至堂宿の馬泥棒/思い立ったが吉日

カバー装画:中一弥
(表紙の女性は登勢だろうか)
カバーデザイン:石崎健太郎
描かれている時代:文政十一年

(文春文庫・514円・2006年8月10日第1刷・346P)
購入日:2006/08/16
読破日:2006/08/23

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