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いもうと 剣客太平記

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いもうと 剣客太平記
いもうと 剣客太平記
(いもうと けんかくたいへいき)
岡本さとる
(おかもとさとる)
[剣豪]
★★★★☆

文庫書き下ろし。直心影流の若き道場主の峡竜蔵が活躍する人情剣豪小説シリーズ第3弾。

「“剣侠”を信条に、その想いを真っ当するために剣を振るうことこそが、泰平の世における剣客の生きる道である」という竜蔵の活躍にほろりとさせられる。

「お前が悪いんじゃねえよ。このままじゃあ、盗っ人にでもならねえと生きちゃあいけねえ……。そんなお前を構ってやろうとしなかった、周りの大人が不甲斐ないのさ」

(『いもうと』P.36より)

「かまぼこの味」は、子どもの教育について考えさせられるとともに、眞壁清十郎の子どもの頃のエピソードも紹介されて、ジーンとくる話になっている。

竜蔵の剣術道場に、新たに目明しの親分“網結の半次”が弟子として加わった。このことにより、捕物帖的な可能性も加わり、今後の物語展開がますます楽しみになった。

主な登場人物
峡竜蔵:三田二丁目に剣術道場を構える道場主
竹中庄太夫:竜蔵の一番弟子
神森新吾:竜蔵の二番弟子。貧乏御家人の子
浜の清兵衛:芝神明の見世物小屋“濱清”の主で、芝界隈に顔を利かす香具師の元締
安:清兵衛の子分
太一:笛を売る行商人。元福崎藩士の杉山又一郎
信乃:杉山又一郎の元許婚
小椋弥平次:福崎藩士
高並助五郎:福崎藩随一の剣の遣い手
網結(あみすき)の半次:目明しの親分
佐原信濃守:公儀大目付
眞壁清十郎:信濃守の側用人
権太:芝田町二丁目の居酒屋“ごんた”の主
お才:竜蔵の昔なじみの常磐津の師匠
お辰:八卦見の女
亀吉:お辰の継父
与助:谷中のやくざ者
宮部達之進:新吾の友人
笠原監物:儒者で、文武堂という私塾の塾長
剣崎藤兵衛:文武道の師範代
大原備後守:高家
おまさ:回向院前の岡場所の遊女
関田大八:武州調布の剣客
剣竜長五郎:相撲取り
粂三:剣竜の弟
長吉:剣竜の付け人
丸山蔵人:豊津家留守居役
ました屋与平:料理屋の主人
芦原権之助:三ツ目通りに住む二百石取りの旗本
森原綾:竜蔵の兄弟子森原太兵衛の娘
志津:竜蔵の母
中原大樹:志津の父で竜蔵の祖父。国学の学問所を開いている
桑野益五郎:長沼正兵衛道場の師範代で、竜蔵の剣友
赤石郡司兵衛:直心影流第十一代的伝
沢村直人:赤石郡司兵衛道場の高弟

物語●「上意討ち」竜蔵は、芝の神明宮で、子ども相手に竹笛を売っている太一と挨拶を交わす仲。境内では、酔態の武士が三人で、旅の親子に乱暴を働いていた。竜蔵が狼藉の場に向かって走り出したとき、その到着を待たずに、太一が三人の武士を叩きのめして、そそくさと立ち去った…。

「いもうと」酔客に絡まれているところを助けてやって以来、八卦見のお辰は竜蔵に付きまとう。そしてお守袋に入った書付を見せて、峡虎蔵の娘で、竜蔵の血のつながった妹であると告げた…。

「かまぼこの味」竜蔵の弟子神森新吾から、遠縁で同い年宮部達之進が塾での剣術の稽古中に死んだという話を聞く。その塾は文武両道を謳った塾で、ここへ入れば将来の出世が約されるという。入塾希望者が殺到し束脩だけで数十両が必要。宮部家は無役で五十石取りの小身で、無理をしての入塾だった…。

「押して勝つ」関田大八という大柄な田舎剣客に、立ち合いで当たり負けをして一本を取られた竜蔵は、足腰の鍛錬を怠っていたことに気づき、相撲部屋で体当たり稽古をすることに。胸を貸してくれた剣竜長五郎は、今評判の力士で、竜蔵には昔、とてもお世話になったという…。

目次■第一章 上意討ち/第二章 いもうと/第三章 かまぼこの味/第四章 押して勝つ

装画:浅野隆広
装丁:装幀:五十嵐徹(芦澤泰偉事務所)
時代:寛政十二年(1800)
場所:飯倉神明宮門前、三田二丁目、福崎播磨守下屋敷(架空)、金杉通四丁目、金杉橋北詰、芝田町二丁目、本所出村町、三田四丁目春林寺前、四国町の春日社、赤坂田町、向島淵崎村、回向院、下谷車坂、黒江町、ほか
(角川春樹事務所・ハルキ時代小説文庫・600円・2012/02/18第1刷・305P)
入手日:2012/05/02
読破日:2012/05/05

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