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傍若無人剣

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傍若無人剣
傍若無人剣
(ぼうじゃくぶじんけん)
南條範夫
(なんじょうのりお)
[戦国]
★★★☆☆☆

隆慶一郎さんの『一夢庵風流記』(集英社文庫、新潮文庫)を読んで以来、気になる快男児・前田慶次郎ものを読みたいとずっと思っていた念願が叶った。

作中で、南條さんの前田慶二郎(こちらはこういう漢字表記になっていた)は、
…五尺七、八寸、色白く、まゆ太く、目涼しく、なかなかの美男子。そのうえ、太守利家のおい、剣も戸田越後守一利に学んで無双の腕まえ。といって、ただの武芸一辺倒の武骨者ではない。堂上の公卿について源氏物語・伊勢物語の秘伝を受け、和歌をよくし、能楽のたしなみも深い。

こう書かれると、非の打ちどころのない若侍になってしまうが、そんなことはないのが慶二郎のいいところだ。

第一、恐ろしく短気で、わがままで、傍若無人、第二にひどく女が好きで、酒好きで、賭博もきらいではない。第三になまけ者で、仕事がきらいで――家中の侍たちの非難を教えあげていくと、きりがないほどえある。

隆さんとは、また一味違う、明るくユーモアがある慶次郎像が楽しめて面白かった。そういえば、南條さんというと、家康影武者説を取りいれた作品も書いているらしい。

物語●前田利家の甥、前田慶二郎は、家中の女たちの評判が悪くなく、もてた。妙齢の娘たちが彼をめぐって恋の鞘当てをするのも日常茶飯事だった。そんなある日、慶二郎は付け文をもらい、のこのこと出かけた、城下の犀川のほとりで、六、七人の黒い布で面を隠した者たちに襲われた…。

目次■なし

装画:東啓三郎
時代:天正十八年(1590)
場所:石川郡金石村、春日山城下、会津若松
(春陽文庫・429円・98/10/20第1刷・186P)
購入日:98/10/25
読破日:98/11/03

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