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闇と影の百年戦争

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闇と影の百年戦争

闇と影の百年戦争

(やみとかげのひゃくねんせんそう)

南原幹雄

(なんばらみきお)
[伝奇]
★★★★☆

第二回吉川英治文学新人賞受賞作。以前、集英社文庫で出ていたが、品切れ絶版中ということで諦めかけていたところ、徳間文庫から新たに刊行された。実に嬉しいことだ。

「鴻池一族の野望」で、大坂の豪商鴻池一族と幕府の秘密機関・中町奉行との抗争を描いた、南原さんが、今回は大丸(屋)を素材に選んでいる。

現在の大丸デパート(東京駅前)である大丸屋呉服店の奥の一室に幕府の隠密部屋があった、という史実からこの奇想天外な物語を発想したらしい。

薩摩藩、大丸屋、公儀御庭番、紀州家が、江戸、尾張、紀州、京、大坂、長崎、薩摩と舞台を替えながら対決する時代エンターテインメント。敵役に回ることが多い薩摩藩士が主人公で、『灼熱の要塞』(集英社文庫)や『御庭番十七家』(徳間文庫)の裏返しで、興味深い。

大塩平八郎や薩摩藩執政・調所笑左衛門(ずしょしょうざえもん)といった有名人?も登場し、見せ場の多い作品だ。

物語●薩摩藩士・志布志平太は、藩主島津斉興からじきじきに特別の御用向きを命じられる。二十九歳の平太は、天地心刀流免許皆伝の腕前に加えて、弓鉄砲の名手であり、代々の江戸定府で、馬廻り役二百石+二人扶持で、非常時には隠密役を務める家柄であった。特別な御用向きとは、三井越後屋と並ぶ大呉服店の大丸屋の探索であった…。

目次■序/福助人形/檜屋敷/大文字山/大坂蔵屋敷/長保寺/大日山の主/紀州家侍帖/観音堂の女/薩摩の秘密/元方寄合/桜の間/長崎店/富士講中/島津斉興/汚穢船/片耳の犬/増上寺養徳院/薩摩屋敷の客/支配頭大番頭/大丸屋尾張店/二番首/大塩の妻/九州へ/卓袱料理屋/抜け荷/肥薩越え/追跡/天狗喝し/天保の乱/隠し館/決断/解説

カバーデザイン:安彦勝博
解説:清原康正
時代:天保七年(1836)二月
(徳間文庫・571円・97/6/15第1刷・381P)
購入日:97/6/11
読破日:97/7/15

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