寒椿ゆれる 猿若町捕物帳

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寒椿ゆれる 猿若町捕物帳

(かんつばきゆれる さるわかまちとりものちょう)

近藤史恵

(こんどうふみえ)
[捕物]
★★★★☆

『巴之丞鹿の子』『ほおずき地獄』『にわか大根』に続く、南町奉行所同心の玉島千蔭が活躍する「猿若町捕物帳」シリーズの第4作目。連作形式で3つの捕物話を収録している。若手人気女形の水木巴之丞や吉原の花魁・梅が枝らが事件の解決に手を貸す、華やかな傑作捕物小説。

シリーズ4作目ということで、千蔭を支える脇役たちがそれぞれ個性を見せて活躍し、物語に奥行きを与えている。さらに、今巻では、千蔭の見合い相手として登場する、奥右筆組頭の娘・おろくが魅力的だ。算術に長けていて、一瞬見たものを記憶している眼のよさも持っている。

巴之丞が演じる、安珍清姫の芝居を見た、おろくが後日、清姫の気持ちについて巴之丞に尋ね、「ろくには、色だの恋だのというのは恐ろしく思われてなりません。どんなに考えても、よくわからないのです」と言う場面が印象的。作者の心理描写と物語構成の見事さに触れられる。

物語を読み返してみて気付いたのだが、作者は奉行所と猿若町、吉原以外は、作品の舞台(描かれている場所)を巧みにぼかしている。芝居のように物語の独自の世界を構築するとともに、時代小説を読み慣れていない人にとっては、逆に親切な配慮かもしれない。

物語●「猪鍋」南町奉行所同心の玉島千蔭の父で隠居の千次郎の後妻、お駒が懐妊した。後妻といってもまだ十九歳で千蔭よりも十歳以上も年下。つわりがひどくて、ぱったりとものが食べられなくなったお駒に、千蔭は目先の変わったご馳走を食べさせようとした…。「清姫」千蔭は、奥右筆組頭の娘で二十八歳になる、おろくと見合いをした。二人は、水木巴之丞から安珍清姫の世界を下敷きにした新作の芝居にさそわ「寒椿」金貸しに盗賊が入り何千両も盗まれ、手代が大怪我を負う事件が起こった。北町奉行所同心の大石新三郎に、盗賊を手引きしたという嫌疑がかけられ、千蔭に事件の真相を探るように内々に依頼があった…。

目次■カバー写真:アフロ
カバーデザイン:泉沢光雄
解説:杉江松恋
カバー印刷:慶昌堂印刷
時代:明記されず
場所:八丁堀、南町奉行所、猿若町、吉原、浅草寺近く、馬喰町、伊勢町、茅場町ほか
(光文社・光文社文庫・552円・93/09/15第1刷・98/09/01第11刷・428P|下巻648円・93/09/15第1刷・291P)
購入日:2011/07/03
読破日:2011/09/01

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