贋作 天保六花撰

贋作 天保六花撰贋作 天保六花撰
(うそばっかりえどのはなし)
北原亞以子
(きたはらあいこ)
[ピカレスク]
★★★★☆

河内山宗俊、片岡直次郎、三千歳らが活躍する大江戸ピカレスク、北原版「天保六花撰」。実は、講談社文庫版を入手していたが未読のままだった。

天保六花撰というと、歌舞伎「天衣紛上野初花 河内山(くもにまごううえののはつはな こうちやま」で、昔の人にはおなじみの題材。河内山宗俊が主人公になることが多いが、本作品は、片岡直次郎(直侍)を主人公に据えた連作形式の小説。もちろん、河内山宗俊、三千歳、暗闇の丑松、金子市之丞、森田屋清蔵ら他の六花撰のメンバーも個性豊かに描かれている。

北原さんは、直次郎の女房・あやのとその父清左衛門を登場させることで、六花撰の面々の溜飲を下げさせる痛快な悪党ぶりに加えて、人情味とおかしみを醸し出している。とくに、あやのの世間知らずの無垢さとかわいらしさに、翻弄される登場人物たちが秀逸。忘れられない作品になっている。

なぎらさんの解説も興味深くて、少し得した気分だ。ところで、舞台となっている時代が天保でないのが気になったが、どうしてだろうか?

物語●十五俵一人扶持の御家人の次男に生まれ、強請りたかりに、美人局はお手のもの、女が放っておかない色男・直次郎。その直次郎が七十俵五人扶持の御徒士・片岡清左衛門の娘あやのと祝言をあげ、婿養子となった。あやのは、滅法美人ながら、生まれた時から体が弱く、十七の年までほとんど病間の外へは出たことがなく、世の中には両親と医者しかいないと思っていた“尋常でない世間知らず”だった…。

目次■罪な女/忍び逢う/みそっかす/逃げた魚/喧嘩屋市之丞/逢引上手/思案のほか/川の流れ/のるか、そるか/一期一会/解説 なぎら健壱

カバーイラスト:蓬田やすひろ
カバーデザイン:蓬田やすひろ
解説:なぎら健壱
時代:文政三年
場所:薬研堀、上野不忍池の中島、通油町、神田小柳町おかね新道、和泉橋通り御徒町、下谷山崎町一丁目、下谷練塀小路、神田多町、日本橋室町、浅草観音堂裏、浅草猿屋町ほか
(徳間文庫・571円・04/11/15第1刷・329P)
購入日:04/12/07
読破日:05/01/09

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