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蝉しぐれ

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蝉しぐれ蝉しぐれ
(せみしぐれ)
藤沢周平
(ふじさわしゅうへい)
[武家]
★★★★☆☆☆ [再読]

蝉しぐれ真っ盛りの時期に、NHK金曜時代劇で、藤沢さんのこの名作がTVドラマ化された。

東北の藩・海坂藩(うなさかはん)の下級藩士の子、牧文四郎の青春を描いたビルドゥングスロマン。幼なじみのふくとの恋情、小和田逸平、島崎与之助との友情、空鈍流の剣の修行、一家を襲った非情な出来事…。歳を経て読むごとに郷愁に誘われる名作。
10年ぶりぐらいで、TV放映にあわせて読み直してみた。初読時に強い感動を覚えたはずなのに、存外ディテールを忘れていた。

再読して、物語の面白さもさることながら、構成の見事さと端正で過不足のない描写など匠の技を堪能した。若い二人の関係を象徴する澄みわたった朝と蛇、夜祭りの喧騒、不吉さを暗示させる嵐…。

描写といえば、物語を読んでいて、舞台となる架空の藩・海坂藩の町並みが頭に浮んできた。作家の井上ひさしさんが、やはり地図を書かれた気持ちがよくわかる。

物語●海坂藩普請組の組屋敷で十五歳の牧文四郎は、養父の助左衛門と、母親の登世と三人で暮らし、隣家の娘・ふくに対して密かに親愛の情を抱いていた。昼前は居駒礼助の私塾で経書を学び、昼過ぎからは空鈍流の石栗道場で剣の稽古をするのが日課だった…。

目次■朝の蛇/夜祭り/嵐/雲の下/黒風白雨/蟻のごとく/落葉の音/家老屋敷/梅雨ぐもり/暑い夜/染川町/天与の一撃/秘剣村雨/春浅くして/行く水/誘う男/暗闘/罠/逆転/刺客/蝉しぐれ/解説 秋山駿

カバー:蓬田やすひろ
解説:秋山駿
時代:明示されず
場所:海坂藩(架空の藩)
(文春文庫・629円・91/07/10第1刷・03/08/05第33刷・470P)
購入日:03/08/31
読破日:03/09/29

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[新装版 蝉しぐれ (上) (文春文庫) ]