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湯屋のお助け人 覚悟の算盤

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湯屋のお助け人 覚悟の算盤湯屋のお助け人 覚悟の算盤
(ゆやのおたすけにん かくごのそろばん)
千野隆司
(ちのたかし)
[痛快]
★★★★

文庫書き下ろし。
旗本の次男坊で、直心影流の達人大曽根三樹之助が活躍する「湯屋のお助け人」シリーズの第3弾。

岡っ引きの源兵衛が新しい居候を夢の湯に連れて帰ったところから、物語は始まる。新たな居候は仔細ありげな浪人者。「瀬古」という名前のみで、下の名前も藩の名前も言えないという。湯屋の仕事をよく働くが、時間があると、浅草茅町の米問屋越後屋の様子をうかがいに出かけていた…。

やがて、瀬古は越後与板藩を脱藩し、上意討ちの命が出されていることがわかる。瀬古は普請組で算盤に長けていたので、領内信濃川の治水工事に関わって、不正があることを見出して藩主に訴えようとしたが、その前に不正の黒幕だった重臣の屋敷に呼ばれて、不正の責を負わされ切腹を強要されそうになり、藩を脱していたのだ…。

今回は、小藩の秘事に巻き込まれる三樹之助と源兵衛。捕物というよりは、御家騒動ものの面白さがある。

シリーズの見所のひとつ、三樹之助の前に現れて予測不能な行動を取る、縁談相手で大身旗本の姫・志乃。武家の世界が舞台ということもあり、今回の活躍ぶりも楽しい。三樹之助と志乃の関係が今後どうなっていくか、興味深いところ。

主な登場人物
大曽根三樹之助:七百石の旗本で御納戸頭を務める、大曽根左近の次男坊。本所亀沢町の直心影流団野道場で免許皆伝を許された腕前
大曽根一学:三樹之助の兄
源兵衛:岡っ引きで、湯島切通町の湯屋「夢の湯」の主人
お久:源兵衛の一人娘
おナツ:お久の娘
冬太郎:おナツの弟
五平:夢の湯の番頭
米吉:夢の湯の男衆
為造:夢の湯の釜焚き
志保:二千石の旗本酒井織部の娘
お半:志保付きの侍女
袴田美乃里:三樹之助の元の許婚
豊太郎:浅草茅町二丁目の米問屋越後屋の若旦那
瑞江:豊太郎の女房
瀬古長四郎:長屋を追い出されて、行き場がなくなり、夢の湯に住み込むことになる浪人者
鎌田才次郎:越後与板藩藩士
玉置利之助:与板藩普請組組頭玉置利右衛門の次男
美作次郎七:与板藩藩士
お久米:一膳飯屋おかめの女中
午吉:荷運び
竜達:大目付の下役、肝煎坊主
潮田藤兵衛:彦根藩側用人
三栗新蔵:与板藩馬廻り役
陸田十左衛門:与板藩側用人
近藤氏太:与板藩藩士

物語●岡っ引きの源兵衛は、湯島天神の茶店で饅頭の代金が払えなくなった無一文の浪人者を夢の湯に連れ帰った。夢の湯の新たな居候となった男は「瀬古」としか名乗らない無口な男だったが、骨身を惜しまずよく働き、次第に周囲に溶け込んでいった。ところが、時折、不審な行動を見せる。訳ありとみた三樹之助は、力になりたいと思うが…。

目次■第一章 七夕の飾り竹/第二章 上意討ち/第三章 大家の姫君/第四章 貰い湯

カバーイラストレーション:田地川じゅん
カバーデザイン:重原隆
時代:明記されず(文化年間)
場所:浅草茅町二丁目、湯島天神、湯島切通町、浅草寺、浅草並木町、与板藩上屋敷、深川元町、南六間堀町、麹町、京橋三十間堀河岸、彦根藩上屋敷、与板藩下屋敷、南茅場町智泉院、小網町、ほか
(双葉社・双葉文庫・600円・2011/07/17第1刷・264P)
入手日:2012/05/01
読破日:2012/05/06

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