仮装身分捜査官って何? 鳴神警察小説に新ヒロイン登場!

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『仮装身分捜査官 一条汐莉 アンダーカバー・プライド』|鳴神響一|角川文庫

仮装身分捜査官 一条汐莉 アンダーカバー・プライド (角川文庫)
鳴神響一(なるかみ・きょういち)さんの人気の書き下ろし警察小説、『仮装身分捜査官 一条汐莉 アンダーカバー・プライド』(角川文庫)を紹介します。

時代小説でデビューし、近年は警察小説シリーズで躍進する著者が、新たに送り出すシリーズの第一作です。

タイトルについて
「仮装身分捜査官」という言葉は耳慣れず、まるで仮面を付けて臨む仮装パーティーを連想させます。
しかし、これは、SNS等で募集される「闇バイト」に応募する際、架空の免許証や学生証を提示して犯罪グループに接触し、情報収集や実行犯逮捕を行う捜査手法のことです。闇バイト犯罪の急増を受け、警察庁が2025年1月に運用ガイドラインを策定、同年6月には警視庁が全国で初めて実施しました。

また「アンダーカバー(undercover)」は、警察官が身分を偽り犯罪組織に潜入して情報収集や証拠確保を行う捜査手法。現代的なトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)対策では、異なる氏名・住所・顔貌を記した文書等を用いて潜入できると定められています。

本書は、この最新の捜査ガイドラインを踏まえた警察小説です。

物語のあらすじ

神奈川県内で偽基地局によるスマホ乗っ取り事件が相次いでいた。乗っ取られたのが《ACOB(アコブ)》社の端末のみだったことから、同社の関連会社になんらかの関与が疑われた。神奈川県警の特別捜査員に任命された一条汐莉(しおり)は、初の「仮装身分捜査官」として、関連会社の《ルミエール》に潜入することになる。だが、身分を偽り、捜査を開始する汐莉に、思わぬ魔手が忍び寄る――。危険な任務に挑む女性捜査官を描く、書き下ろし。

(『仮装身分捜査官 一条汐莉 アンダーカバー・プライド』カバー裏の紹介文より抜粋・編集)

ここがポイント

一条汐莉の初めての任務は、《ACOB》グループのコンサルタント会社《ACOBプレシャス》から。《ルミエール》の働き方改革を推進し、効率よく快適な勤務体制を作るため、勤務環境の調査を目的に、《ルミエール》にやってきました。
山岸早紀(やまぎし・さき)という人物を名乗っての潜入捜査です。

早紀は、《ルミエール》で働きはじめると、社内のことを親切に教えてくれる社員ばかりでなく、私生活を犠牲にしても仕事にやりがいを感じる女性チームリーダーや、反抗的な態度で上司に嫌われる男性社員、職場に馴染めずにやる気が全くないエンジニア、男性ばかりの職場でコンプライアンス意識が欠けた課長などと出会います。

そんなある日、慣れぬ事務仕事で残業していた早紀は、ある出来事に巻き込まれます……。

今回の捜査は、直接的な闇バイト対策でなく、「偽基地局のよるスマホ乗っ取り事件」で、警察庁のガイドラインといくらか食い違う部分がありました。しかし、氏名、住所、電話番号、クレジットカードなどの個人情報が抜き取られ、スマホ端末の所有者はクレジットカード等により身に覚えのない多額の債務を負うことになり、放置していれば大変な問題になる事案でした。

警察官としていつも堂々と仕事をしてきた汐莉は、犯人を逮捕し、犯罪を防ぐためとはいえ、自分の身分を偽る仮装身分捜査官に、いささかの後ろめたさと戸惑いを感じながら、潜入捜査をしています。

そんな汐莉を強くサポートするのが、汐莉を神奈川県警初の仮装身分捜査官に任命した上長、織田信和刑事部長(「脳科学捜査官 真田夏希」でおなじみの)。
そして、汐莉の潜入捜査を外部からさまざまな形でサポートする職員が、神奈川県警刑事部刑事総務課特別支援員の小西行哉巡査部長です。

とはいえ、潜入先では単身。初の仮装身分捜査官というプライドを胸に、不可能と思われるような難しい捜査に一人で挑みます。

著者は、心理職捜査官(「脳科学捜査官 真田夏希」や警察庁ノマド調査官(「警察庁ノマド調査官 朝倉真冬」)などユニークな警察官を生み出して、警察小説に新たな面白さを加えてきました。

本書では、仮装身分捜査という新しい捜査手法がよくわかります。新たな面白さが発見できました。今後のシリーズ展開が楽しみでなりません。

今回取り上げた本


書籍情報

仮装身分捜査官 一条汐莉 アンダーカバー・プライド
鳴神響一
KADOKAWA・角川文庫
2025年8月25日初版発行

カバー写真・デザイン:舘山一大

目次:
プロローグ
第一章 人事課
第二章 汐莉の責務
第三章 第一技術課
第四章 第二技術課
第五章 戦いの夜
エピローグ

本文278ページ
書き下ろし

鳴神響一|作品ガイド
鳴神響一|なるかみきょういち|時代小説・作家1962年、東京都生まれ。中央大学法学部卒。2014年、『私が愛したサムライの娘』で第6回角川春樹小説賞を受賞してデビュー。2015年、同作品で第3回野村胡堂文学賞を受賞。時代小説SHOW 投稿記...