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最強の闇高家・一色彪馬、幕府転覆を狙う黒幕を斬れ!

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天下を駆ける 幕府転覆危機誉田龍一(ほんだりゅういち)さんの文庫書き下ろし時代小説、『天下を駆ける 幕府転覆危機』を献本いただきました。

用心棒をしていた一色彪馬は、ある日、仕事を終えて父の待つ長屋へ帰ると、父は斬られていて、その相手の侍たちは彪馬のことも待ち伏せしていて襲ってきました。

柳生新陰流の達人である彪馬は相手を撃退しますが、父は絶命しました。そして、悲嘆にくれる間もなく、旗本で御庭番の宍戸徳兵衛が長屋にやってきて、彪馬を江戸城に連れて行き、将軍家斉と面会させました。

家斉は、彪馬の家系が名門・一色家であり、高家、それも裏の身分、闇高家として任じて、幕府と朝廷の間で不穏な動きを調べ、場合によっては斬ることを命じられました。

「朝廷と幕府の名を利用する悪は成敗してくれる!」――高らかに響き渡る声の主は、家斉から闇高家に任ぜられた一色彪馬であった。彪馬は将軍に、元々名門である一色家を再興し、朝廷に官位をもらった上で、江戸と京に巣食う奸計を潰して欲しいと懇願されていたのである。
江戸に戻った彪馬はすぐさま、謎の刺客の襲撃を受ける。いま彼の命を狙うと思われるのは三者。朝廷の反幕府勢力、白河藩主の松平定信、尾張藩主の徳川宗睦であった。そして、徐々に明るみになる黒幕の正体……。しかも彪馬のみならず、じつは驚くべき人物もその標的になっていたのであった! 徳川家の安泰、庶民の安寧を守るため、鎺(はばき)に葵と裏菊紋が入った短刀を手に、最強の闇高家が真の悪を斬る――!!
(カバー裏の内容紹介より)

彪馬は京に上って、朝廷内の反幕府勢力の力を削ぎ、尊号一件のことで幕府朝廷間に走った緊張を解くために、不穏分子を押さえました。その際に、尾張藩が朝廷から姫君を降嫁させようとする不穏な動きが耳に入り、その計画を潰してきました。

「一体、あの連中は誰の手の者なのでしょうか」
「さっきも、言ったはず。御三家か」
 彪馬が言うと、宍戸は頷く。
「尾張ですな」
 京からの帰り道、彪馬と宍戸は尾張藩の調停との婚姻計画を潰してきた。
「御老中……」
「松平定信様でしょうか」

(『天下を駆ける 幕府転覆危機』P.24より)

本書は、京から江戸に戻ってきた彪馬と宍戸が、五人の侍に襲われたうえに、那須与一の生まれ変わりのような弓の名手にも襲われるシーンから始まります。

刺客の黒幕は、尾張藩主徳川宗睦、白河藩主松平定信のほか、反幕府の公家が考えられます。家斉に帰着の報告をした彪馬は、引き続き、江戸で家斉に対して不満をもつ勢力の動きを探り、おかしな動きをする者があれば容赦なく成敗するように命じられます。

彪馬と宍戸への襲撃は、幕府を転覆させる恐ろしい計画の端緒なのか。

さて、闇の身分とはいえ高家に就き、禄も頂戴した彪馬ですが、屋敷は拝領できず、本所の長屋に戻ることになりますが、そこも襲われて……。

江戸から京へ向かう道中で一緒となった盗賊の一味だった、若い女・お紋とも江戸で再会し、お紋は彪馬と宍戸と行動をを共にすることなります。三人のコミカルな掛け合いも楽しい、痛快時代小説の第二幕の始まりです。

カバーイラスト:室谷雅子

●目次
第一章 江戸へ
第二章 襲撃
第三章 暗殺

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『天下を駆ける 幕府転覆危機』(誉田龍一・コスミック・時代文庫)(第2巻)
『天下を駆ける 菊と葵の拝領剣』(誉田龍一・コスミック・時代文庫)(第1巻)

誉田龍一|時代小説リスト
誉田龍一|ほんだりゅういち|時代小説・作家 1963年3月3日-2020年3月9日。大阪府出身。 2006年、「消えずの行灯」で第28回小説推理新人賞受賞。 ■時代小説SHOW 投稿記事 父になったり、同心になったり。人情手習い所の先生はた...