[A] 家でじっくりと本を読みたいあなたには
若き剣豪将軍を描いた長編歴史大河ロマンがおすすめ
『剣豪将軍義輝』上 鳳雛ノ太刀/中 孤雲ノ太刀/下 流星ノ太刀
宮本昌孝著
徳間文庫
家でじっくり時代小説を楽しみたいあなたには、実力派の宮本昌孝さんの長編歴史大河ロマンがおすすめです。
全3巻からなる3部構成。第1部と第3部も文句なく素晴らしいが、この作品の他を圧する魅力は、第2部にあります。
物語はスピーディーにかつ波瀾万丈に展開します。
一瞬もだれる所がありません。かといって緊張しっぱなしというのではなく、ユーモアを交え弛緩する箇所が随所にあります。
登場人物たちのキャラクター造形も魅力的です。
初期の司馬遼太郎さん、「城」シリーズの白石一郎さん、隆慶一郎さん、北方謙三さんといったロマン派の歴史時代小説の系譜にある作品です。
宮本昌孝さんの作品は、短編も含めてどれも読み味がいいので最初に読む時代小説として適しています。
天文十五年、十一歳の菊幢丸は元服して名を義藤(のちの義輝)に改め、父義晴から将軍職を譲られた。年改まり、権威回復を図り、挙兵した義晴だったが、管領細川晴元派に京を追われることになる。近江に逃れる途上、義藤は旅の武芸者の手練の技を目撃し、武術の稽古に目覚める。そして、運命の少女と終生のライバルとも出会うことになる…。
下剋上の乱世を、流星の如く駆け抜けた剣豪将軍の光彩に満ちた生涯をロマン溢れる筆致で描いた畢生の名作。
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