2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

武家

市井人情

“臆病者”の新米同心、実は勇気も度胸も満点

吉橋通夫さんの『ずくなし半左事件簿』(角川文庫)を読了しました。信州松本藩六万石を舞台に、亡き父の跡を継いで、領内の村々を廻る郡方役所に出仕した、一人の若者を主人公にした、青春人情時代小説です。主人公の一志半左(いつしはんざ)は、柔術と小太...
剣豪

「軍鶏道場」のもう一人の師・権助、逝く。涙が抑えられず

野口卓さんの『羽化(うか) 新・軍鶏侍』(祥伝社文庫)を読了しました。南国の藩・園瀬(架空の地)を舞台に、剣術道場を営むかたわら、軍鶏を飼育する「軍鶏侍」こと、岩倉源太夫がその家族や師弟を中心に繰り広げられる、ファミリー時代小説シリーズの第...
武家

藩きっての臆病者が、郡方同心となって成長する青春時代小説

吉橋通夫(よしはしみちお)さんの人情青春時代小説、『ずくなし半左事件簿』(角川文庫)を入手しました。2018年4月から2019年6月まで、「しんぶん赤旗」日曜版に連載された「ずくなし半左事件簿」を加筆修正のうえ、文庫化した作品です。著者は、...
武家

海賊の盗米四千俵を捜す正紀。常陸府中藩では一揆再び

千野隆司さんの文庫書き下ろし時代小説、『おれは一万石 無人の稲田(ぶにんのいなだ)』(双葉文庫)を入手しました。本書は、一石でも欠けると大名でなくなる、崖っぷちの一万石の下総高岡藩に養子入りして、世子となった、井上正紀が藩が直面する危機を次...
武家

狩野派の贋作と江戸のマネーロンダリング騒動を追う

千野隆司さんの文庫書き下ろし時代小説、『おれは一万石 贋作の謀』(双葉文庫)を入手しました。本書は、下総国高岡藩の世子(藩主の後継)・井上正紀を主人公にした文庫書き下ろし小説シリーズの第9弾です。正紀は、尾張藩の附家老をつとめる、美濃今尾藩...