市井人情

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大坂を描く時代小説の面白さ

引き続き、築山桂さんの『一文字屋お紅実事件帳 紅珊瑚の簪』を読んでいる。司馬遼太郎さんの短篇など、江戸時代の大坂を描いた時代小説はいくつかある。それらの作品に共通する面白さは、主人公が武士ではなく、商人である点だ。もともと大坂では武士は少な...
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大坂の町娘が活躍する時代小説

最近、江戸だけに飽き足らず、大坂に関心を持ち始めている私。築山桂さんの新刊、『紅珊瑚の簪(かんざし)』を読み始める。築山さんは、『浪華の翔風(なにわのかぜ)』を読んで以来、とても気になっている女性時代小説家だ。プロフィールによると、京都府生...
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犬好き大満足の時代小説

阿部牧郎さんの『艶女犬草紙』を読み終えた。文政年間の大坂。武士を捨て貸本屋を営む町之介は、犬が縁で下宿(したやど。奉行所に出頭する人の控え所を貸す業者)の若女将リサと知り合う。町之介は、「アラぬきの多助」という犬好きの青年とともに、「犬の口...
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本所は旗本子弟の社会勉強の場

宇江佐真理さんの『あやめ横丁の人々』を読み終えた。ささやかだけで居心地のいい大切な場所を失ったような喪失感というか、素敵な夢から覚めてしまい、いつもと変わらない現実に直面したときのような思いがする。婿入り祝言の場で新婦を相愛の仲の奉公人に奪...
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宇江佐真理さんと江戸情緒

『あやめ横丁の人々』を読み始める。宇江佐真理さんらしい、江戸情緒たっぷりの歯切れのいい語り口が楽しい。婿入りの祝言の席上で、昔の映画『卒業』(ダスティン・ホフマンが出ていたやつ)のように、妻を恋人に奪われた大身旗本の三男坊、紀藤慎之介。逆上...