『傑作! 名手たちが描いた 小説・鎌倉殿の世界』の解題を担当しました。

花暦

花暦花暦
(はなごよみ)
澤田ふじ子
(さわだふじこ)
[短編]
★★★☆☆☆

ダイアナ妃の交通事故死のニュースが飛び込んで来てショックを受けた夜、本書を読みはじめた。最初の短編「寒椿」がいいようのない気持ちの落ち込みを和らげてくれた。

澤田作品によく見られる、逆境に対して前向きに明るく立ち向かう登場人物に励まされた。

本書では、四季の花(椿、梅、鬘、桜、藤、燕子花、蓮、桔梗、朝顔、芒、菊、茶)が各編で印象的に登場し、人間ドラマを彩っている。

物語●「寒椿」病身の父と幼い弟の世話で嫁に行き遅れた娘が、椿の花で染める秘伝の草木染が縁で…。「転生の梅」絵屋の養女は、養父母に生木を裂くように夫と別れさせられた…。「月の鬘」真夜中の逢瀬のために、娘は…。「桜狐」夜中に幼い子どもに厠に起こされる母親が子どもに話した作り話とは…。「重畳の藤」京の老舗の麩饅頭屋の自慢は藤だった…。「みどりのつるぎ」祝言直前に婚約者を喪った娘が気晴らしに三年ぶりに外出した…。「蓮見船」長屋にいわくありげな年増の女が移ってきた…。「定家狂乱」小浜藩のお納戸奉行で道具の目利きが京の山中で見つけたものは…。「夏花比翼図」池坊立花の女師匠が嫁がない訳は…。「野ざらし」俳句にハマった婚約者を待つ娘に…。「菊日和」北嵯峨野の大沢池周辺にぶらぶらする若い男の姿が見かけられるようになった…。「雪の花」京の饅頭処の隠居は了徳寺の〔大根炊き〕の法要の準備に追われていた…。

目次■寒椿|転生の梅|月の鬘|桜狐|重畳の藤|みどりのつるぎ|蓮見船|定家狂乱|夏花比翼図|野ざらし|菊日和|雪の花

カバー装幀:蓬田やすひろ
解説:藤田昌司
時代:「寒椿」文化十三(1816)年ほか
舞台:京。大垣藩。若狭小浜藩。近江膳所藩。
(廣済堂文庫・524円・97/9/1第1刷、255P)
購入日:97/8/16
読破日:97/9/2

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