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縄田一男[編] 半七捕物帳

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縄田一男[編] 半七捕物帳
縄田一男[編] 半七捕物帳
(なわたかずおへん はんしちとりものちょう)
岡本綺堂
(おかもときどう)
[捕物]
★★★★☆

TVドラマが気に入って、続編も読むことにした。今度の編者は、時代小説解説の第一人者縄田さんだ。北原亞以子さん編にあった挿絵の趣も捨て難いが、本編の方が収録作品数が多く、第1作や、半七の初捕物、最終作品など記念碑的な作品を収録しているのでお得感がある。

本書を購入した当時は、店頭になかった光文社文庫版がまた、店頭に並んでいるので、ハマりたい人は、そちらがおすすめだ。この大衆文学館版はCDのベスト盤のようなところか。

「石灯籠」のなかで、捕物帳の定義をきっちりしていて、多いに参考になる。岡っ引、小者、御用聞き、目明しの違い、使い方がよくわかる。

明治から見た江戸の社会、風俗をたっぷり書き込んでいるので、かび臭く感じるところもあるかもしれないが、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」ものを読むつもりで取り組むと面白く読める。

物語●続編ながらも、シリーズ第1作の「お文の魂」から、大正期に書かれた最後の半七物語の「三つの声」まで、前期の作品から13編を収録。

収録作品○「お文の魂」(旗本の妹が、幽霊に悩まされて嫁ぎ先から娘を連れて戻ってきた…) 「石灯籠」(行方不明になった小間物屋の娘が戻ってきたが、すぐまたいなくなり、おかみが殺された…。半七初手柄) 「勘平の死」(素人芝居の忠臣蔵の六段目で、勘平役の若旦那がすりかえられた小道具の本身の刀で殺された…) 「湯屋の二階」(手先の熊蔵の営む湯屋に怪しい二人組の武士が入りびったっていた…) 「お化け師匠」(お化け師匠とあだ名される踊りの女師匠が養女の一周忌に殺された…) 「春の雪解」(春の雪の夕方、半七は贔屓の寮からのお呼びを断る按摩を見かける…) 「三河万歳」(師走の寒い朝、田舎者の若い男が懐に赤子を抱いたまま死んでいた…) 「熊の死骸」(火事のなか現れた熊に襲われる若い娘を助けたのは…) 「張子の虎」(捕物に助勢した遊女が殺された…) 「弁天娘」(質屋の小僧が口中を腫らした末に死んだ…) 「冬の金魚」(俳諧の師匠其月は湯の中で泳ぐ金魚を売ることになった…) 「むらさき鯉」(殺生禁断の御留川で紫鯉を釣った男にまつわる話) 「三つの声」(川崎大師へ参詣するために早出した男は、待ち合わせ場所で同行の従弟と友人に出会えなかった?!)

デザイン:菊地信義
人と作品:縄田一男
時代:天保十二年、十二月。明治三十一年
(講談社大衆文学館・830円・97/03/20)
購入日:97/3/30
読破日:97/5/4

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