『たらしの城』|佐々木功|光文社文庫
2025年7月1日から7月10日に刊行予定の文庫新刊情報として、「2025年7月上旬の新刊(文庫)」を公開いたしました。
今回、特に注目したい作品は、佐々木功(ささき・こう)さんによる歴史時代小説『たらしの城』(光文社文庫)です。2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で注目される、若き日の秀吉を主人公にした物語です。
あらすじ
愉快、痛快! これぞ秀吉――。若き日の秀吉、すなわち木下藤吉郎が、天性の“ひらめき”と“愛嬌”で人々の心をつかみ、一夜で城を築き上げます。藤吉郎の一家や、弟の小一郎をはじめとする仲間たちが次々と加わり、力を合わせて乱世を生き抜いていきます。 史上まれに見る出世街道を駆け上がった戦国武将・豊臣秀吉の、魅力あふれる物語です。
(『たらしの城』(光文社文庫)Amazon紹介文より抜粋・編集)
ここに注目!
著者の佐々木功さんは、2017年に「乱世をゆけ」で第9回角川春樹小説賞を受賞し、同作を改題した『乱世をゆけ 織田の徒花、滝川一益』でデビューしました。
以降、『慶次郎、北へ 新会津陣物語』、『家康の猛き者たち 三方ヶ原合戦録』、『天下一のへりくつ者』など、戦国時代を舞台に、勇猛であったり、くせ者であったりと、個性派と称される武将たちを描いた作品を次々に発表しています。
本書では、木下藤吉郎時代の若き日の秀吉が主人公です。彼の魅力である知恵と愛嬌、そして“人たらし”としての才能が、遺憾なく発揮されるのが、美濃国洲の俣(すのまた)に築かれた「一夜城」の逸話です。
洲の俣は、墨俣とも書きます。伊勢湾に注ぐ木曽川に、北から長良川が合流し、大きな流れをなす地点に、西から犀川が流れ込む――そんな川の合流点にあたる、美濃側の要地を指します。秀吉は、いかにしてこの地に短期間で城を築き上げたのでしょうか。
物語には、当時“小一郎”と呼ばれていた弟・豊臣秀長をはじめ、前田又左衛門(利家)、蜂須賀小六(正勝)、前野将右衛門(長康)、竹中半兵衛(重治)といった、後の“秀吉ファミリー”と呼ばれる面々も登場し、読み応えのある一冊に仕上がっています。
★単行本刊行時のレビュー


今回ご紹介した本
