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【今日の書棚】双葉文庫の2026年10月の新刊より

累計160万部超の大人気時代小説シリーズ、新展開。六代将軍、いざ参る!

双葉文庫の2026年10月の新刊より

双葉文庫の2026年10月の新刊から、おすすめの時代小説4タイトルを紹介します。

佐々木裕一さんの『新・浪人若さま新見左近(二十三) 天領の鼠』は、ついに六代将軍となった新見左近こと徳川家宣が、民の暮らしを守るため、天領の不正などに立ち向かう人気シリーズの最新刊です。

風野真知雄さんの『わるじい義剣帖(八) まあだだよ』は、愛孫の桃子を溺愛する老剣士・愛坂桃太郎が、葛飾北斎の力も借りながら同心殺しの謎に迫る、人情とユーモアあふれる一冊です。

篠綾子さんの『芝神明宮いすず屋茶話(五) 業火』では、行方知れずの許婚と瓜二つの男の出現をきっかけに、芝神明宮門前の茶屋「いすず屋」に集う人々の思いが交錯します。

中島かずきさんの『髑髏城の七人〈新装版〉』は、戦国末期を舞台に、織田信長の影を引きずる男たちの因縁と死闘を描いた、劇団☆新感線の代表作の小説版です。11月からの新作舞台公演を前に、新装版として登場しました。

佐々木裕一『新・浪人若さま新見左近(二十三) 天領の鼠』(双葉文庫)

ここに注目!

本シリーズの大きな転機となる一冊です。これまで新見左近として活躍してきた徳川家宣が、ついに江戸幕府第六代将軍に就任します。

宝永六年(1709)、将軍となった家宣を待ち受けていたのは、先代・綱吉の時代から続くさまざまな難題でした。生類憐みの令によって処罰された人々の救済や、物価高騰への対応など、民の暮らしを立て直すための改革が求められています。

そんな中、幕府の直轄領である天領で、代官による不正の疑いが浮上します。左近は真相を探るため、ある人物に密命を下しますが、その先には何が待ち受けているのでしょうか。

本書の注目点は、一人の剣客として悪を斬ってきた左近が、天下の政を担う将軍として、どのように正義を貫くのかというところにあります。

権力の頂点に立ったからこそ、これまでとは異なる難しさに直面する左近。それでも、民を思う心と、悪を許さぬ信念は変わりません。

政治の世界での駆け引きと、葵一刀流による痛快な剣戟。将軍となった左近の新たな戦いが楽しみな、シリーズ第二十三弾です。

書誌情報

『新・浪人若さま新見左近(二十三) 天領の鼠』

佐々木裕一
双葉社・双葉文庫
2026年10月14日 第1刷発行

カバーデザイン:長田年伸
カバーイラストレーション:室谷雅子

目次
第一話 将軍と悪童
第二話 つきまとい
第三話 悪しき小判
第四話 天領の鼠

本文270ページ
本書は書き下ろし

今回ご紹介した本

風野真知雄『わるじい義剣帖(八) まあだだよ』(双葉文庫)

ここに注目!

孫娘の桃子を溺愛する、愛坂桃太郎こと「わるじい」が活躍する人気シリーズ第八弾です。

今回、桃太郎が追いかけるのは、霊岸島で起きた同心殺しの事件。絵師・葛飾北斎の力を借りて重要な手掛かりをつかみ、いよいよ事件の核心に迫ろうとします。

ところが、桃太郎にはもう一つ、何よりも大切な役目があります。それは、愛孫の桃子を守ることです。

桃子は、いつの間にか町人たちから「生き神さま」として拝まれる存在になっていました。しかも、桃子の継父で同心の雨宮は、相変わらず頼りになりません。

事件の謎を追いながら、孫娘の身も案じなければならない桃太郎。そんな彼自身にも、何者かの殺意が向けられます。

本シリーズの魅力は、腕の立つ老剣士の痛快な活躍と、孫娘にはめっぽう弱い祖父の姿とのギャップにあります。

北斎まで巻き込んだ事件の謎解きに加え、桃太郎と桃子の微笑ましいやり取りも見逃せません。

事件が深刻になるほど際立つ、桃太郎の飄々とした人柄と孫への愛情。人情とユーモア、そして剣戟が絶妙に交じり合う、風野真知雄さんならではの時代小説です。

書誌情報

『わるじい義剣帖(八) まあだだよ』

風野真知雄
双葉社・双葉文庫
2026年10月14日 第1刷発行

カバーデザイン:國枝達也
カバーイラストレーション:室谷雅子

目次
第一章 犬がいちばん偉い家
第二章 タイは尻尾だけ
第三章 タダで食わせる店
第四章 見いつけた

本文244ページ
本書は書き下ろし

今回ご紹介した本

篠綾子『芝神明宮いすず屋茶話(五) 業火』(双葉文庫)

ここに注目!

芝神明宮の門前にある茶屋「いすず屋」を舞台に、そこに集う人々の喜びや悲しみ、心の機微を丁寧に描く人気シリーズ第五弾です。

今回の物語で注目したいのは、女中のお蝶と、行方知れずとなった許婚・源太をめぐる人間模様です。

源太と瓜二つの薬売り・兼水が常連となっても、平静を装って接していたお蝶。しかし、兼水が従兄妹のお由紀を連れてきたことで、その心に波紋が広がり始めます。

さらに、噂を聞きつけた源太の父・源蔵が佃島から訪ねてきます。いすず屋の女将おりくの計らいで、源蔵と兼水が対面することになりますが、果たして何が明らかになるのでしょうか。

大切な人の帰りを待つ切なさ、親が子を思う気持ち、そして過去と向き合おうとする人々の姿が、物語の大きな読みどころです。

また、離れて暮らす我が子を案じる母の思いや、吉事を願う木彫りの鷽)うそ)など、江戸の暮らしや信仰に根ざした題材にも注目したいところです。

人々が抱える事情はさまざまでも、茶屋という場所で交わされる言葉や心遣いが、傷ついた心を少しずつほぐしていきます。

門前町のにぎわいを背景に、人と人との縁や、言葉にできない思いを情感豊かに描く、人情時代小説です。

書誌情報

『芝神明宮いすず屋茶話(五) 業火』

篠綾子
双葉社・双葉文庫
2026年10月14日 第1刷発行

カバーデザイン:bookwall
カバーイラスト:おとないちあき

目次
第一話 つぐない
第二話 富山からの客
第三話 お焚き上げ
第四話 梅と鷽

本文305ページ
本書は書き下ろし

今回ご紹介した本

中島かずき『髑髏城の七人〈新装版〉』(双葉文庫)

ここに注目!

時は戦国、本能寺の変から八年が過ぎた天正十八年、関東の色里、無劇団☆新感線を代表する舞台作品『髑髏城の七人』の小説版が、新たな装いで登場しました。

舞台は天正十八年(1590)。本能寺の変から八年が過ぎ、豊臣秀吉による天下統一が目前に迫る時代です。

関東の色里「無界の里」に、天魔王率いる関東髑髏党が襲いかかります。狙われた少女・沙霧を守るため、謎めいた風来坊の捨之介や、無界の里の主・蘭兵衛らが立ち上がります。

やがて浮かび上がるのは、捨之介、蘭兵衛、天魔王の三人を結ぶ深い因縁です。

本作の大きな魅力は、織田信長という巨大な存在が去った後の戦国世界で、それぞれの過去と信念を背負った男たちが激突する、壮絶な人間ドラマにあります。

信長の亡霊ともいうべき存在に、無頼の者たちはどう立ち向かうのか。登場人物たちの因縁が明らかになるにつれ、物語は一気に緊迫感を増していきます。

劇団☆新感線ならではの、スピード感あふれる展開、個性的な人物造形、迫力ある立ち回りも見どころです。舞台で描かれてきた熱いドラマを、小説ならではの表現で味わえるのも魅力です。

さらに、2026年11月からは『いのうえ歌舞伎 髑髏城の七人 LAST STAND』が全国4都市で上演される予定です。

今回の新装版には、あとがきが加筆されています。舞台を観たことのある方はもちろん、初めて『髑髏城の七人』に触れる方にも、戦国エンターテインメントの醍醐味を存分に楽しめる一冊です。

書誌情報

『髑髏城の七人〈新装版〉』

中島かずき
双葉社・双葉文庫
2026年10月14日 第1刷発行

カバーデザイン:大野リサ

目次
巻壹 気づいたのは兵庫
巻貮 追われていたのは紗霧
巻參 生き残ったのは蘭兵衛
巻四 助けに来たのは捨之介
巻伍 倒すべきは天魔王
あとがき

本文363ページ
本作品は、2004年4月にマガジンハウスより単行本として刊行し、2008年5月に講談社文庫にて文庫化されました。
本書は、『髑髏城の七人』(双葉文庫、2017年3月刊)に、あとがきを加筆した新装版です。

今回ご紹介した本