活字が苦手でテレビドラマもあまり見ないんだったら、もうマンガしかないでしょう。
ところが、時代マンガというのは、意外に少ないのです。やはり、史料を調べたり、歴史考証がたいへんなのでしょう。
『カムイ伝』、『赤影』、『花の慶次』(画:原哲夫、原作:隆慶一郎)や杉浦日向子の作品ぐらいです。
そんな中で、巨匠・手塚治虫さんが本格的な時代マンガを描いていました。 作者の曾祖父にあたる医師、手塚良仙を主人公にした、傑作長編マンガ『陽だまりの樹』です。
中井貴一主演で舞台化もしています。
府中藩の下級武士・伊武谷万二郎は清河八郎に切られた刀傷を、適塾への入塾が決まった良仙に手当てしてもらうことから、二人の奇妙な友情が始まる。剣の腕は立つがクソ真面目で、好きな女性に想いを伝えられない不器用な万二郎、一方は女好きでチャランポランなところもあるが、医学については研究心旺盛で人情味もある良仙。歴史の波に翻弄されながらも、武士として、片や医師として真摯に生き抜く二人の姿が感動的だ。
以前に面白いマンガがないと書いたら、井上雄彦の『バカボンド』が大ヒットし、小山ゆうの『あずみ』が映画化されました。
黒鉄ヒロシの歴画もいいし、岡野玲子の『陰陽師』も原作とはまた違った良さを引き出しています。時代マンガも侮れません。
★こんな時代マンガもおすすめ
『バガボンド(1)』(井上雄彦・講談社)
『陰陽師』(岡野玲子・白泉社)