時代小説

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『汐のなごり』と酒田の町

北重人さんの『汐のなごり』は、出羽の架空の町・水潟を舞台にしています。この町は自然や湊町の風景ばかりでなく、風習や気質の面でも酒田をモデルにしていることが伝わってきます。「塞道の神」では、小正月に行われる塞道の祭りが描かれ、幕見のことにも触...
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「爽太捕物帖」、久々の復活

北原亞以子さんの『消えた人達』を読み始めました。鰻屋「十三川(とみかわ)」の入聟で十手持ち(岡っ引き)の爽太が活躍する捕物小説の第2弾です。前作の『昨日の恋』からずいぶん時間が経過したように思います。さて、前作は連作形式で七編を収録していま...
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『小伝抄』の星川清司さんの2年遅れの訃報

今日(2010年4月9日)の朝日新聞・朝刊に、作家や脚本家として活躍された星川清司さんの訃報が2段抜きで掲載されていました。比較的大きめな扱いになっていたのは、星川さんが亡くなられていたのが2年近く前の2008年7月25日で、本人の意思でそ...
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晩年を生きた証としての北重人さんの短篇集

北重人さんの『汐のなごり』を読み始めました。この作品で、北さんは第140回直木賞の候補になっています。ちなみにこのときの受賞作は、天童荒太さんの『悼む人』と山本兼一さんの『利休にたずねよ』でした。北さんは2009年8月に惜しまれつつ亡くなら...
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脇役たちに光を当て、新選組の世界が広がる

木内昇さんの『新選組裏表録 地虫鳴く』を読みました。本書は、新選組では脇役というかチョイ役の扱いがほとんどの3人の人物を語り手として物語が進みます。一人目は、一度新選組を脱退しながら、元治二年に復帰、その後、伊東甲子太郎側についた伍長の阿部...