伝奇

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小松左京賞作家の捕物帳

年末に伊藤致雄(いとうむねお)さんの『吉宗の偽書 兵庫と伊織の捕物帖』を読んだ。作者の伊藤さんは、1942年宮城県生まれで、2005年に『神の血脈』で第6回小松左京賞を受賞された気鋭の作家である。『神の血脈』は幕末を舞台にした壮大なスケール...
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今後の展開が楽しみな「無茶の勘兵衛」シリーズ

浅黄斑さんの『冥暗の辻』を読む。「無茶の勘兵衛」シリーズの第4弾で、帯には「ビルドゥングスロマン(ドイツ語でBildugsroman。主人公の人格形成や成長をテーマとして書かれた小説のこと。日本語では教養小説と呼ばれる)の傑作」と書かれてい...
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幕府の秘事にアクセスする奥右筆という役職

上田秀人さんの『密封 奥右筆秘帳』を読んだ。上田さんは、『竜門の衛』という、八代将軍吉宗治下の将軍家と尾張家の抗争を描く文庫書き下ろし時代小説を発表されて以来、エンターテインメント度の高い良質の作品を次々と出されている。そのほとんどの作品は...
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二宮隆雄さんの『暗闘』についてのメモ

徳川吉宗(八代将軍)vs.徳川宗春(尾張藩主)の抗争を扱っている時代小説では、えとう乱星さんの『あばれ奉行』、佐伯泰英さんの『悲恋 密命・尾張柳生剣』、黒崎裕一郎さんの『はぐれ柳生殺人剣』『はぐれ柳生斬人剣』『はぐれ柳生無情剣』の三部作が思...
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吉宗vs.宗春の抗争を描く時代小説

二宮隆雄さんの『暗闘 俊傑江戸始末(一)』を読んだ。著者の二宮さんは、ヨットマンで『海援隊烈風録』『風炎の海』『覇王の海』などの魅力的な海洋時代小説を発表されている。白石一郎さんが亡くなられた今、この分野の第一人者といえる。暗闘―俊傑江戸始...