2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

芸道

市井人情

江戸の数学と愛をテーマにした傑作時代小説

鳴海風(なるみふう)さんの『円周率を計算した男』を読んだ。10年ぐらい前に単行本で刊行されたときに読んでいるが、例によってストーリー展開など細部の記憶がすっかり抜け落ちていたので、初めて読むような感じで面白く読めた。鳴海さんは、1992年に...
江戸

江戸時代の絵師を題材にした珠玉の短篇集

葉室麟(はむろりん)さんの『乾山晩愁(けんざんばんしゅう)』を読んだ。葉室さんは、表題作の「乾山晩愁」で2005年第29回歴史文学賞を受賞してデビューし、2007年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞を受賞した新進気鋭の時代小説家。乾山晩愁 (...
武家

天保の改革の暗部を探る、女狂言師の活躍を描く

杉本章子さんの『お狂言師歌吉うきよ暦』を読んだ。お狂言師とは、大名家の奥向きへあがって狂言を披露する者のこと。お狂言師歌吉うきよ暦 (講談社文庫)作者: 杉本章子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/12/12メディア: 文庫この商...
江戸

無頼の天才と奸臣の郡代が和算対決

鳴海風(なるみふう)さんの『美しき魔方陣 久留島義太見参!』を読んだ。鳴海さんは、円周率の自乗の公式を発見した建部賢弘を描いた短篇『円周率を計算した男』で第十六回歴史文学賞を受賞したほか、和算(鎖国化の江戸時代に発達した日本独特の数学)の祖...
市井人情

浮世絵師国芳と遠山の金さん

河治和香(かわじわか)さんの『侠風むすめ(きゃんふうむすめ)』を読んだ。河治さんは、『秋の金魚』で第2回小学館文庫小説賞を受賞された、注目の時代小説家。『秋の金魚』では、江川太郎左衛門配下の二人の男の間で、恋に悩む女性を主人公に配して幕末か...