2024年時代小説(単行本/文庫書き下ろし)ベスト10、発表!

明治

文学賞

風野さんの歴史文学賞作品、待望の文庫化

風野真知雄さんの『黒牛と妖怪』を読んだ。この短編集は、「黒牛と妖怪」「新兵衛の攘夷」「檻の中」「秘伝 阿呆剣」「爺」の五編の時代小説が収録されている。「耳袋秘帖」、「大江戸定年組」、「四十郎化け物始末」、「若さま同心徳川竜之助」など、多くの...
ミステリー

若き日の大隈重信の姿を活写

渡辺房男(わなたべふさお)さんの『円を創った男 小説・大隈重信』を読んだ。渡辺さんに注目したのは、『ゲルマン紙幣一億円』を読んでからである。明治政府が発行した紙幣・明治通宝(ドイツの会社が印刷したことから通称ゲルマン紙幣と呼ばれた)の精巧な...
明治

明治をしたたかに生き抜いた元・御家人の記録

安藤優一郎さんの『幕末下級武士のリストラ戦記』を読んだ。幕末に幕府御徒を務めた山本政恒(やまもとまさひろ)の自分史本「政恒一代記」をベースに、その生涯をなぞり、敗者の視点から幕末・明治をとらえた歴史読み物。幕末下級武士のリストラ戦記 (文春...
捕物

明治の「かわせみ」を読む

『華族夫人の忘れもの』が発売されたのを機に、遅ればせながら、『新・御宿かわせみ』を読んだ。江戸の「御宿かわせみ」の最終巻である、『浮かれ黄蝶(うかれきちょう)』も読んでいなかったこともあるが、登場人物たちの変貌ぶりに、幕末維新の激動ぶりを改...
明治

明治時代の江戸ブーム

歴史家の安藤優一郎さんの『幕臣たちの明治維新』を読んだ。江戸研究のスペシャリストである安藤さんがタイトルに明治とつく読み物を出されると聞いて、専門の範囲を広げられたのかと思い、最初はいささか奇異な印象を持った。幕臣たちの明治維新 (講談社現...