御町見役うずら伝右衛門・町あるき

御町見役うずら伝右衛門・町あるき御町見役うずら伝右衛門・町あるき
(おまちみやくうずらでんえもん・まちあるき)
東郷隆
(とうごうりゅう)
[武家]
★★★★☆

尾張藩主徳川宗春の同腹の弟で、藩の隠密御用を務める、「うずら伝右衛門」こと、志摩銀之丞が活躍するシリーズ第2弾。今回の宗春と将軍吉宗の対立ぶりをどのように描くか興味津々。

「町あるき」と題されていたので、のほほんとしたお話ばかりかと思っていたら、当時の武家や庶民の姿を活写した話を収録。中でも、「小便組の女」というドッキリするタイトルで、おねしょをする妾の話で興味深かった。確か『銭形平次』にも、同じような題材が描かれていたのを思い出した。「不典」とは、不作法のこと。

尾張藩主徳川宗春と八代将軍吉宗の対立を描く時代小説は多いが、このシリーズはどちらかが一方的に悪いという形になっていないので、気持ち読める。各話の最初にある、深井国さんの扉絵が素敵。

物語●「不典にて候」市ヶ谷の尾張藩江戸上屋敷に、一人の浪人が系図を持って仕官願ってやってきたが、追い返された末に、屋敷の近くで自害した…。「小便組の女」伝右衛門は、旗本高木左京亮の屋敷の賭場で、吾妻周南という風貌の怪しい医者と知り合いとなった…。「河獺」公用で一月ぶりに江戸に戻った伝右衛門は、旧知の山伏・仙覚院から、堀浚い、井戸掻いの者が化物を怖がっているという話を聞いた…。「はやり神始末」氷室御祝儀の日に当る六月一日、小日向加仁川田圃の小川で男が一人、溺れ死んでいるのが見つかった。調べていくと、川の上流と下流一町の間に細引きが一筋、水草の間に引かれていた…。「次郎太刀の行方」将軍吉宗は、姉川の合戦の軍談を聞き、朝倉家の勇士・真柄十郎左衛門の息子十郎三郎の太刀「次郎太刀」に強い関心を持った。そしてその太刀が尾張家に所蔵されているということを知り、尾張家に見せるように求めたが…。

目次■不典にて候/小便組の女/河獺/はやり神始末/次郎太刀の行方/解説 細谷正充

カバー装画:深井国
カバーデザイン:菊地信義
解説:細谷正充
時代:享保十七年(1732)十一月
場所:市ヶ谷五段坂口、牛込原町馬ノ下、神楽坂上、正蔵院前、南品川宿、川田窪、小日向加仁川田圃、赤城明神下、品川善福寺門前町、本法寺門前町ほか
(講談社文庫・667円・05/03/15第1刷・409P)
購入日:05/04/01
読破日:05/04/19

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